『自閉の子・太田宏介30歳 これからもよろしく』太田 實 著
■本体1700円+税/A5判/216頁・カラー32頁/並製
■ISBN978-4-905327-10-3 C0095
定年後、重度の知的障がい・自閉症の息子と初めて向き合い、
関わりをとおして自己を深くみつめ、赤裸々に綴った 父としての告白
障がいをもつ子の父親が誰しも経験するとまどい、悲しみ、怒りを率直に語り、やがてアートに目覚めていく我が子に寄り添うことで、自らも大きく成長していった、“父親再生の記”。
★個性溢れる文章をのせたブログが反響を呼び、1冊の本になりました。
★2009 テレビ東京「未来につなぐ〜絵から生まれるメッセージ」で紹介されました。
★2011.10.21 KBCニュースピア「自閉の画家・宏介と家族の30年」放送されました。
★新聞に取り上げられました。10月18日付「朝日新聞」知的障害の息子 父がつづる30年
10月12日付「西日本新聞」自閉の子 葛藤と喜び
10月8日付「読売新聞」自閉の息子との日々本に 悲観、戸惑い…感動 変化した父の姿描く
【本文より】
私は、私より早く宏介死なんかなあ、とそればっかり思っていた。無関心、無頓着ではあったけど、宏介の父親であって、障害という不治の病を生まれながらに負わせてしまった責任をとるという気持ちが常にあり、チクチク痛んだ。あんなに好きなマージャンの時もこのチクチクが顔を出し、楽しめなかった。ただ、家には帰りたくなくて、その回数は増えるばかりだった。
─宏介が授業中、前のガラス戸をバンバン叩いているのです。(中略)先生は「これ以上、叩くと割れて宏介か周りの子が怪我をする。どうしたらこの状態をクリアできるか一緒に考えたい」と言われました。
生徒の一人から「先生! 宏介くんは先生のことが大好きだから、サランラップをガラス戸に貼って先生の似顔絵を描いたらいいと思う!」という意見が出ました。
参観日の日、私はドキドキしながら教室に入りました。宏介はガラス戸の前に立ち、叩こうと思って戸を見たら、先生が描いてある。あ、叩けない、このラップ外して……と困った顔のまま参観日は終わり、宏介は一度も戸を叩くことなくクリアーしました。(「小学校入学の時」より)
【著者紹介】 太田 實
1946年、熊本県に生まれる。1969年西南学院大学経済学部を卒業し、印刷会社に就職。2007年、定年退職し専業主夫、現在に至る。太宰府市在住。