『九州文学 582号:2023年夏号』九州文学同人会編・発行
■本体1000円+税/A5判/232ぺージ/並製
■ISBN978-4-910038-79-7 C9095
■2023.7刊
■九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/
火野葦平や劉寒吉らを輩出し、82年の伝統を持つ九州発信の文芸誌『九州文学』582号。
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九州文學は1938年(昭和13年)、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊。以来、昭和・平成・令和と継承されていき、詩、俳句、小説と多くの作家が切磋琢磨して、創り上げてきました。2020年7月より第八期として新しく船出し本誌もリニューアル。80年の伝統を守りつつ、今後も豊かな言語芸術を志して参ります。
目次
【巻頭詩】
雨季の終わりに[柴田康弘]
【詩】
焦作を発つ日[金子秀俊]
ささゆり[麻田春太]
わたしのお父ちゃん その一 ゼイムショって何?[松野弘子]
それでいいのだ[秋山喜文]
サ ギ[林 恭子]
白い紙[本田雅子]
この悲しみ[高森 保]
頬骨の錆び[梶原佑心]
【俳句】
苦い夏[麻田春庵]
過去未来[中園 倫]
【短歌】
ごんぞうの歌[中村重義]
宙の赤[小松陽子]
【随想】
花の奥に[木村 咲]
シルバー人材派遣[大山要子]
科学エッセイ 科学のことば「遺伝子」と「排卵」[屋代彰子]
【掌編】
草原のかおり[今給黎靖子]
よっ、千両役者![野見山悠紀彦]
【小説】
やわらかな男のころ[森田燻u]
鳩時計[佐々木信子]
引っ越し[森 美樹子]
スラジ(朝陽)[白水百合子]
燧 灘[大島凛吾]
カジュエロ町のサントス 南十字星の下 熱砂の祈り[X][永井竜造]
【コラム】
吉兆に乾杯/留学生余話(1)スモモの話
(2)自給自足の村での話/(3)留学生が好きな漢字
(4)伝統文化を引き継ぐ留学生/(5)留学生の宗教観
(6)どこでも授業が始まる話/(7)野球かクリケットか
(8)強制帰国をまぬがれた王君の話/(9)放課後の昼下がりの話
編集委員会便り
編集後記
580号・581号への時評・季評抜粋 他
巻頭詩
雨季の終わりに [柴田康弘]
打ちつける朝の雨
まっしろな船の
甲板に人影はなく
とおく
和太鼓のリズムは
届かない
閾を超える鬼たちへ
遠雷のように
別れを告げることができるだろうか
迸る水流
うねる水泡の力に
あらがう魚たち
光彩が熱くなる
木々の輪郭がきわだち
ざわめき始める
青ざめた陶器の中で
雨季が終わろうとしているのだ
やがて熱風に隠れた
怒りのような羽搏きが
海をわたる
九州文学同人会
『九州文学』は,1938年,福岡県を中心に活動する火野葦平,劉寒吉,岩下俊作,原田種夫らによって創刊。火野葦平は「糞尿譚」によって第6回の芥川賞を得,岩下俊作が『九州文学』に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞,直木賞の候補に挙げられ,九州を代表する同人誌として『九州文学』の全国的地位を確立させた。なお,邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった『まぼろしの邪馬台国』(宮崎康平)も『九州文学』に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。
問合せ先 e-meil 2kyubundojinkai@gmaik.com
九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/