S図書出版

花乱社

『九州文学 587号:2025年春号』九州文学同人会編・発行

 

■本体1000円+税/A5判/288ぺージ/並製
■ISBN978-4-911429-05-1 C9095
■2025.3刊
■九州文学HP  https://kyushu-bungaku.com/

火野葦平や劉寒吉らを輩出し、80年の伝統を持つ九州発信の文芸誌『九州文学』587号。
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九州文學は1938年(昭和13年)、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊。以来、昭和・平成・令和と継承されていき、詩、俳句、小説と多くの作家が切磋琢磨して、創り上げてきました。伝統を守りつつ、今後も豊かな言語芸術を志して参ります。





目次

【巻頭詩】
自 分[林 恭子]

【詩】
水出しコーヒー[本田雅子]
早 春[柴田康弘]
お地蔵さまに出逢う[石武^由美]
今日も大丈夫と生きてる?[麻田春太]
石 石鬼[松野弘子]
夕焼け小焼けで日が暮れて[金子秀俊]
犯 人[林 恭子]
かはたれ詩廊[梶原佑心]

【俳句】
風の艶[中園 倫]
春 愁[麻田春庵]

【川柳】
ひと笑いして[高森 保]

【随想】
科学エッセイ ユクスキュル/クリサート著『生物から見た世界』[屋代彰子]
白妙と武陵[園田明男]
うちの女房にゃ髭がある[中園 倫]

【掌編】
竹 輪[木村 咲]

【小説】
ゴクハー村の花壇[白水百合子]
After 21[森 美樹子]
正直な嘘[緑川すゞ子]
源重郎世事手控(二)道中土産[野見山悠紀彦]
残 照[塚元秀樹]
宝石夢追い人たち 南十字星の下 熱砂の祈り[永井竜造]
上野クンが田舎暮らしを始めましたとさ[内田ゆうこ]
鎮守の森のご神木と少年の物語[関屋弘治]
野生の王国[木島丈雄]

【コラム】脳の容量/確かな世界と似て非なるもの
     スリランカの旅(1)スリランカでの結婚式/(2)スリランカの宗教観
     (3)スリランカの世界遺産、仏歯寺

編集委員会便り
585号、586号への時評・季評抜粋
編集後記 他



巻頭詩

  自 分 [林 恭子]

信じたい
何を
何かを
自分を
いつも 不機嫌
毎日 心が揺らぐ

大らかで のんびり屋と
自己分析を愧じて
思いっきり 大声をあげようか
思いっきり 物を投げてみようか

不機嫌の因(もと)は
物事が思うように進まない
体力も不足
物事が思うように進まない
一人で焦っている

他人(ひと)に言うべきではない
言っても

彼岸花を誰かが仏壇に
嫌いではない
赤と白
居候蜘蛛 後をソッと通過
居候蜘蛛が……
いないと心配
中秋は過ぎ
手足をばたつかせている自分

煎餅をかじった




九州文学同人会

『九州文学』は,1938年,福岡県を中心に活動する火野葦平,劉寒吉,岩下俊作,原田種夫らによって創刊。火野葦平は「糞尿譚」によって第6回の芥川賞を得,岩下俊作が『九州文学』に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞,直木賞の候補に挙げられ,九州を代表する同人誌として『九州文学』の全国的地位を確立させた。なお,邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった『まぼろしの邪馬台国』(宮崎康平)も『九州文学』に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。2020年7月より第8期始動,本誌をリニューアルした。

問合せ先 e-meil 2kyubundojinkai@gmaik.com

九州文学HP  https://kyushu-bungaku.com/