図書出版

花乱社

『九州文学 588号:2025年夏号』九州文学同人会編・発行

 

■本体1000円+税/A5判/256ぺージ/並製
■ISBN978-4-911429-09-9 C9095
■2025.7刊
■九州文学HP  https://kyushu-bungaku.com/

火野葦平や劉寒吉らを輩出し、80年の伝統を持つ九州発信の文芸誌『九州文学』588号。
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九州文學は1938年(昭和13年)、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊。以来、昭和・平成・令和と継承されていき、詩、俳句、小説と多くの作家が切磋琢磨して、創り上げてきました。伝統を守りつつ、今後も豊かな言語芸術を志して参ります。





目次

【巻頭詩】
噴水の映像[梶原佑心]

【詩】
シーツ、本当はどっち? 映画『オッペンハイマー』から[石武^由美]
三月三日[林 恭子]
暗 転 ダークチェンジ[麻田春太]
バス友 みっちゃん[松野弘子]
暁の訪問者[本田雅子]
巳を見よ[梶原佑心]
予言の光[梶原佑心]

【俳句】
落ち零れし夏[麻田春庵]
恋ごころ[中園 倫]

【随想】
私の戦中日記[今給黎靖子]
留学生の人生に向き合う時[白水百合子]
『吾輩は猫である』の環世界[屋代彰子]
忘却の記憶の扉[中園 倫]

【掌編】
ドアスコープ[森田燻u]

【小説】
僕の俳句の先生[前編][田中義治]
桃源郷[前編][神浮スけし]
柳絮の頃[塚元秀樹]
教頭先生は養蜂家[上村信広]
源重郎世事手控 (四)富くじ[野見山悠紀彦]
蜜柑山の一夜[緑川すゞ子]
上野クンが田舎暮らしを始めましたとさ ─2─[内田ゆうこ]
冥途の土産[木島丈雄]

【コラム】通勤電車の思い出
留学生余話27 たまごっちの話/28 多言語問診票の話/29 ドクダミ茶の話

編集委員会便り
586号、587号への時評・季評抜粋
編集後記 他


巻頭詩

  噴水の映像 [梶原佑心]

その向こうには
美しい暈けであるあなた‥‥ ‥
日射
下ろしたつば
たましいの水浴びを経て 起算 岸まで

囁かれて流離譚
あまりにも夏の建築 微熱つづきで
See me later , ‥‥ ‥
木木
口にして罷めた
すべて倒だった公園での字 小鳥  字
冷却のうったえ
或いは
うったえの冷却
おもったるい 便益と耽美 そのあわいに
騙り波
まして あなたからの教え
ひとを謗るみずから に
みずから 寄せ続ける懐疑を 忘れないで
第3の声である永続 その縁から
ふたたび
岸までの 道程を うわがき‥‥ ‥
下らない韻の木だ と
腹癒せに
投げ飛ばしたのはあの帽子
などではなくて あの青空
それなのにああ 燦 舞い戻ってくる verse

蛇口の破裂音
近く 虹が架かるだろう
いき溜まる
やがてふたりは
同じカーディガンを脱いでいく‥‥ ‥


九州文学同人会

『九州文学』は,1938年,福岡県を中心に活動する火野葦平,劉寒吉,岩下俊作,原田種夫らによって創刊。火野葦平は「糞尿譚」によって第6回の芥川賞を得,岩下俊作が『九州文学』に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞,直木賞の候補に挙げられ,九州を代表する同人誌として『九州文学』の全国的地位を確立させた。なお,邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった『まぼろしの邪馬台国』(宮崎康平)も『九州文学』に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。2020年7月より第8期始動,本誌をリニューアルした。

問合せ先 e-meil 2kyubundojinkai@gmaik.com

九州文学HP  https://kyushu-bungaku.com/