『九州文学 589号:2025年秋・冬号』九州文学同人会編・発行
■本体1000円+税/A5判/280ぺージ/並製
■ISBN978-4-911429-17-4 C9095
■2025.11刊
■九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/
火野葦平や劉寒吉らを輩出し、80年の伝統を持つ九州発信の文芸誌『九州文学』589号。
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九州文學は1938年(昭和13年)、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊。以来、昭和・平成・令和と継承されていき、詩、俳句、小説と多くの作家が切磋琢磨して、創り上げてきました。伝統を守りつつ、今後も豊かな言語芸術を志して参ります。
目次
【巻頭詩】
パッケージ[石武^由美]
【詩】
心の行方[麻田春太]
水無月に[柴田康弘]
三匹のミミズ[松野弘子]
日常[本田雅子]
老いを背負いて[林 恭子]
ここはここ[石武^由美]
青鷺の家 あるいはBypass Storyの断章[梶原佑心]
大樹の映像[梶原佑心]
【俳句】
虫の闇[中園 倫]
初笑ひ[中園 倫]
秋は秋[麻田春庵]
冬は嵌め殺し[麻田春庵]
【随想】
科学エッセイ[鮭屋代彰子]
「生きる」ということ[白水百合子]
私の戦後日記[今給黎靖子]
忘却の彼方に心遊ばせて[中園 倫]
【小説】
極楽坂の鬼 (一)鬼に金棒[野見山悠紀彦]
月を掬う[由比和子]
それぞれの秋[佐々木信子]
友 へ[森 美樹子]
僕の俳句の先生[後編][田中義治]
桃源郷[後編][神浮スけし]
上野クンが田舎暮らしを始めましたとさ ─3─[内田ゆうこ]
編集委員会便り
585号、588号への時評・季評抜粋
編集後記 他
巻頭詩
パッケージ [石武^由美]
薄く晴れたあの日は
山あいのロードで
霧が発生
みるみるうちに
我々のいたあたり一面
パッケージされていった
「またね」
互いに言い合って
くるりと背を向けた
三文字の音は
あまりにさらりと
宙に散って
背中に冷たい風が当たった
あなたも同じだろうか
その時
あさはかな期待がうまれて
そっと振り向いてみた
はたして
あなたは背中しか
見せなかった
清々とした
二人のいつもの別れが
今度は
少し濁った
これもきっと
パッケージされていく
この夏も終わり
ある朝
蝉が鳴かないと知るまでには
九州文学同人会
『九州文学』は,1938年,福岡県を中心に活動する火野葦平,劉寒吉,岩下俊作,原田種夫らによって創刊。火野葦平は「糞尿譚」によって第6回の芥川賞を得,岩下俊作が『九州文学』に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞,直木賞の候補に挙げられ,九州を代表する同人誌として『九州文学』の全国的地位を確立させた。なお,邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった『まぼろしの邪馬台国』(宮崎康平)も『九州文学』に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。2020年7月より第8期始動,本誌をリニューアルした。
問合せ先 e-meil 2kyubundojinkai@gmaik.com
九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/