『九州文学 591号:2026年夏号』九州文学同人会編・発行
■本体1000円+税/A5判/256ぺージ/並製
■ISBN978-4-911429-26-6 C9095
■2026.7刊
■九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/
火野葦平や劉寒吉らを輩出し、80年の伝統を持つ九州発信の文芸誌『九州文学』591号。
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九州文學は1938年(昭和13年)、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊。以来、昭和・平成・令和と継承されていき、詩、俳句、小説と多くの作家が切磋琢磨して、創り上げてきました。伝統を守りつつ、今後も豊かな言語芸術を志して参ります。
目次
【巻頭詩】
飛 来[本田雅子]
【詩】
声[石武^由美]
地を噛む[麻田春太]
声なき声[松野弘子]
竹筋橋[林 恭子]
日田の映像[梶原佑心]
【俳句】
浮世風[中園 倫]
言葉なく虹立つ[麻田春庵]
【随想】
科学エッセイ 時間の階層[屋代彰子]
昭和の残像[白水百合子]
柳生新影流・柳心会旅日記 夏草之抄[箱嶌八郎]
紡ぎ出す昭和の記憶の玉手箱[中園 倫]
半島私記[宮川行志]
【小説】
蜘蛛の囲[木澤 千]
喰らう〔前編〕[坂本雨季]
和仁城合戦異聞[塚元秀樹]
極楽坂の鬼 (三)不動の首[野見山悠紀彦]
植物教団 (二)[森田高志]
マイ ポートレイト[上村信博]
上野クンが田舎暮らしを始めましたとさ─5─[内田ゆうこ]
【コラム】同人誌健康法(1)/同人誌健康法(2)
編集委員会便り
589号・590号への時評・季評抜粋
編集後記 他
巻頭詩
飛 来 [本田雅子]
手術が終わって君が目を覚ますまで
七階の待合室で待っている
手術前の高揚感は消え
ただ案じて待っている
雀が窓の方に飛んできたので近寄ると
下方に黒い糸が見えた
糸はゆっくり動いていた
それはクレーンの腕だった
地上には四角い箱があり
それを持ち上げて移動しているようだ
クレーンの音はここまで聞こえない
黄色の花をつけた高木が立っている
イぺーだろうか
畑の向こう側の道路には車が走っている
待合室では
親子で看護師と話している人
クロスワードパズルを解いている人
スマホで誰かと連絡を取っている人
クッキーやナッツを食べている人など
思い思いに待っている
本を読むのにも飽きて目を上げると
視界に光の粒が弾け散らばった
瞬きをくり返すと消えた
空は夕暮れが始まろうとしている
青が残る空に夕日を隠すようにして
濃い灰色の雲が広がり伸びてきた
端が尖っていて竜の口に見える
辺りに四色の光が放たれ
夕焼けを二人で見上げた日々が
帰って来る
九州文学同人会
『九州文学』は,1938年,福岡県を中心に活動する火野葦平,劉寒吉,岩下俊作,原田種夫らによって創刊。火野葦平は「糞尿譚」によって第6回の芥川賞を得,岩下俊作が『九州文学』に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞,直木賞の候補に挙げられ,九州を代表する同人誌として『九州文学』の全国的地位を確立させた。なお,邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった『まぼろしの邪馬台国』(宮崎康平)も『九州文学』に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。2020年7月より第8期始動,本誌をリニューアルした。
問合せ先 e-meil 2kyubundojinkai@gmaik.com
九州文学HP https://kyushu-bungaku.com/