図書出版

花乱社

『明治日本とキリスト教:蒔かれた種〈西南学院大学博物館研究叢書〉』

■宮川由衣編/宮崎克則監修
■西南学院大学博物館発行
■本体1000円+税/B5判変型/64頁 /小口折並製本
■ISBN978-4-910038-03-2 C0021
■2019.7刊
関連書:『信仰の歴史:キリスト教の伝播と受容』2016年刊
 『異国と福岡:江戸時代における長崎警備と対外交流』2016年刊
 『島原半島の信仰と歴史:一揆とその後の松平氏治世』2017年刊
 『キリスト教の祈りと芸術:装飾写本から聖画像まで』2017年刊

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長い禁教の時代を経て、宣教師たちが再び日本の地を踏む─。黒船来航によって西洋近代と対峙し、急速に近代化が進められていくなかでキリスト教は伝播した。
安政五カ国条約では来日する外国人の信教の自由が認められたが、日本人に対しては依然として禁制が続き、長崎浦上ではキリシタンが検挙される事件も起こる。その一方で、宣教師と出会い聖書の教えに胸を打たれ、密かに洗礼を受けた者もいた。彼らはのちに伝道者や教育者として、日本の近代キリスト教の礎を築き、明治日本に蒔かれた種は、教育、文化、そして社会福祉といった様々な分野で豊かに実を結んでいく。
本図録では、宣教師によって蒔かれた種が芽生え、花咲き、そして実っていく様子を資料とともに辿り、宣教師たちの活動や新島襄、津田梅子、西南学院の礎を築いた波多野培根などコラム・論文で紹介する。
キリスト教との出会いという視点から、あらためて日本の近代化を問う。
【2019年西南学院大学博物館特別展T図録 明治日本とキリスト教─蒔かれた種─】

■もくじ
ご挨拶  西南学院大学博物館館長[宮崎克則
 開催概要/凡例
第1章 開 国 信教の自由に向けて
 【コラム】S・W・ウィリアムズ 黒船で来航した宣教師/西南学院大学博物館学芸研究員 宮川由衣
 【コラム】パリ外国宣教会 期待されていた信徒発見/西南学院大学博物館学芸調査員 田中 恵
第2章 近代キリスト教の初穂 日本の近代化とキリスト教
 【コラム】開港場箱館から ニコライ司祭と新島襄/西南学院大学博物館学芸研究員 宮川由衣
 【コラム】アメリカ・オランダ改革派教会宣教師フルベッキ 明治日本の近代化とキリスト教普及の立役者/西南学院大学博物館学芸調査員 鬼束芽依
第3章 よきおとずれ 教育・文化・社会福祉
 【コラム】明治日本のプロテスタント讃美歌/西南学院大学博物館学芸調査員 西山 萌
 【コラム】日本における女子教育の開花と発展/西南学院大学博物館学芸調査員 早田 萌
 【コラム】明治期における児童教育 ?崎・外海地区におけるド・ロ神?の活動について/西南学院大学博物館学芸調査員 内野舞衣
第4章 教育者・波多野培根 西南学院の礎
 【コラム】新島襄と波多野培根/西南学院大学博物館学芸員 下園知弥
 【コラム】陽明学とキリスト教/西南学院大学博物館学芸調査員 木村新菜
論 考
近代日本キリスト教の萌芽 禁教下におけるプロテスタント宣教師の活動をめぐって/西南学院大学博物館学芸研究員 宮川由衣
横浜天主堂と大浦天主堂における二つの捕縛事件 パリ外国宣教会の対応を中心に/西南学院大学博物館学芸調査員 田中 恵
日本の近代化とキリスト教 熊本バンドの場合/西南学院大学国際文化学部国際文化学科教授 塩野和夫
 出品目録


■ご挨拶より
 西南学院大学博物館は西南学院の建学の精神であるキリスト教主義を活動方針の基本に据え、「九州のキリスト教シリーズ」をはじめとし、キリスト教の歴史や文化に関する展覧会を実施してきました。
 今回の展覧会は、はじめて明治のキリスト教に光を当てています。1853(嘉永6)年、ペリー提督率いるアメリカ艦隊が江戸湾浦賀沖に来航、幕府に開国を迫りました。こうして約3世紀にわたるいわゆる鎖国の時代が終わり、開港場には条約締結国の外国人のための居留地が設けられました。そしてそこには近く期待される日本人への布教活動に備え、開港とともに多くのキリスト教宣教師が来日しました。ここに近代日本のキリスト教の種が蒔かれたのです。2019年は、1859(安政6)年に神奈川(横浜)・長崎・箱館(函館)の3港が開港してから160年となります。
 本展覧会では、宣教師によって蒔かれた種が芽生え、花咲き、そして実っていく様子を資料とともに辿っていきます。「宣教師の活動」と並び、展覧会のもう一つの柱となるテーマが「近代化」です。ご存じのように、豊臣秀吉"伴天連追放令を発した1587(天正15)年以来、キリシタンに対して厳しい弾圧が行われてきました。明治維新後もしばらくキリシタン禁制は続きますが、1873(明治6)年にキリシタン禁制を掲げた高札が撤去されます。旧来の制度や価値観を大きく変えるほどのエネルギーの根底には、黒船来航の衝撃がありました。黒船来航によって西洋近代と対峙し、急速に近代化が進められていくなかで、キリスト教は伝播していったのです。
 明治日本のキリスト教は近代化とともにありました。本展覧会が、キリスト教との出会いという視点から、あらためて日本の近代化を問う機会ともなれば幸いです。
 末筆ではございますが、本展覧会開催にあたり、ご協力を賜りました関係各位に対しまして、厚く御礼を申し上げます。
 
 2019年7月15日   西南学院大学博物館館長 宮崎克則  



■本文見本

 

 


 

 

 

 

 

 



【編者紹介】宮川由衣(みやかわ・ゆい)

1990年生まれ。2015年、西南学院大学大学院国際文化研究科国際文化専攻博士前期課程修了。
現在、西南学院大学博物館学芸研究員、西南学院大学非常勤講師。
共編著『東方キリスト教との出会い─祈りのかたちとその拡がり─』展図録、西南学院大学博物館、2018年。『宗教改革と印刷革命』展図録、西南学院大学博物館、2019年。『ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ』展図録、パナソニック 汐留ミュージアム、北九州市立美術館、NHKプロモーション、2018年、参考文献共編。主な研究論文に、「M・シャガールによるカルヴェール礼拝堂の装飾構想─〈聖書のメッセージ〉連作における有機的構造をめぐって─」、『西南学院大学博物館研究紀要』第7号、西南学院大学博物館、2019年などがある。