『野村望東尼 ひとすじの道をまもらば』 谷川佳枝子著
■ISBN978-4-905327-04-2 C0023
■日本図書館協会選定図書
■各紙に取り上げられました。
「産経エクスプレス」2011.7.7/「熊本日日新聞」「宮崎日日新聞」「神戸新聞」「山梨日日新聞」7.17/「秋田新聞」7.24/「毎日新聞」8.7読書欄/「図書新聞」11.26 短歌史における「勤皇歌人」の位相再考をうながす ほか
転機となった京坂への旅を追い、歌や日記をつぶさに読み解くことで成った決定版伝記。
- 【目次】より
- 第一章 浦野もととその時代
- 第二章 野村もとと歌の道
- 第三章 退隠の日々
- 第四章 京坂への旅
- 第五章 勤王の道
- 第六章 望東尼の志
- 第七章 流 罪
- 第八章 終 焉
- 野村望東尼略年譜
【著者紹介】 谷川佳枝子(たにがわ・かえこ)
1955年,福岡市生まれ。 1979年,九州大学文学部国史学科卒業。「消息文の会」主宰。防府野村望東尼会顧問。
著書=野村望東著『向陵集』楢崎〔谷川〕校訂,文献出版,1981年),
論文=「金森宗和」(『茶道雑誌』1988年),「野村望東尼」(『茶道雑誌』1990年),「幕末動乱を生きた歌人」(『近世を生きる女たち』海鳥社,1995年),「野村望東尼」(『天神
様と二十五人』太宰府天満宮,2002年),「野村望東尼筆『柞葉集』について」(『出光美術館館報』137号,2007年),「望東尼の見た志士たちの生き様と維新の道」(『筑前維新の道
』のぶ工房,2009年8月)ほか。
【刊行を祝して】 川添昭二氏(九州大学名誉教授)
本書の特色は何と言っても、歌人と勤王、つまり望東尼における文学と政治とが相即して総合的にとらえられている点にあります。福岡藩はもとより、幕末の日本は、まさに激動期で
した。著者はそれに関するおびただしい研究を整理・活用し、激変する政情の中での文学活動と、女性の政治参加のさきがけと言われるものの実態を、原史料に即して活写しています。
本書からは実に多くのことを学びました。本書の成立と成果そのものが、私にとっては教訓的ですが、歴史学と文学の融合化による高く広い世界の構築を見事に示しており、
著者がその点を言挙げしていないだけに、深い感銘を受けました。このような形での地域文化の地道な掘り起こしの重要性についても深く学びました。このような作業こそが、福岡ないし日本の
文化力を高める根源的な営みではないかと、つくづく考えさせられました。