「大隈言道と近世福岡の文化を探る」という旗印を掲げて「ささのや会」が発足したのは、1991年3月19日。言道が溺愛した桜の花が咲き初める頃である。
福岡市中央区六本松の「菊ずし」に集った者11名。当面の目的を「言道を軸に、資料の発見・整理及び全集の企画。会員間の交流と親睦」とし、言道旧居「ささのや」(福岡市中央区今泉)に因む会名を付け、会長・穴山健(福岡女子短期大学教授・近世文学)、世話人・桑原廉靖(内科医師・歌人/2001年11月死去)を選出した。
以後、年に数回(不定期)、会員内外による卓話を聴き、意見や情報の交換、新発見資料の紹介などを行う集まりをもってきた。
この間、会員が協力・参加した行事としては、1992年4月の言道歌碑建立(「ささのや」跡地に隣接する今泉公園内)、1998年11月の「生誕二百年記念 大隈言道展・シンポジウム」(於・福岡市)などがある。
また、これまで単行本としては1938年刊行(1991年再販/品切)の岩波文庫版しかなかった言道生前唯一の刊行歌集『草径集』の読みやすいテキストを提供しようと、2002年春から10回の集中勉強会を経て、同年12月に穴山健校注・ささのや会編『大隈言道 草径集』(海鳥社刊、定価2625円)を出版、好評を得ている。
2003年からは、新しい取り組みとして、相当な数が現存しながらあまり整理がなされてこなかった言道の書簡を読み始めたところである。
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