大隈言道研究 ささのや会
 
 
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【春】 16首
春日 のどかなる日にこぼれてや浮ぶらむ まさご流るる春の川岸
帰雁 帰る雁かへりて春もさびしきに 童のひろふ小田のこぼれ羽
いや高くなるかと聞けば 鶯の木の下音にも音をかへて鳴く
梅の花咲ける宿さへ閉ざしけり 小笹の里の春の朝北
里霞 今朝見れば なびく霞のおのれから掲げて見する高宮のさと
爪木 伐られつることもおぼえず 爪木さへ木の芽はるにはあふここちかな
春雨 春雨のこさめさびしみ ひさごさへふるに音せぬ夕ぐれの宿
尋花 咲く花を尋ねてゆけば いつよりか去年来し道にみちはなりきぬ
花下 誰よりもさくらが下にちかく居て 前へと人を言はぬ今日かな
春川 浅き瀬に転びまろびてながれ来る枝もさくらの花ざかりかな
晩鐘 いつよりか入相の鐘は鳴りつらむ 心づきたる果ての一声
風前落花 誘ひゆくちから疲れて 散る花をながるる水にゆづる山風
花間鳥 咲く花にあそぶを見れば 鳥だにも食むことのみは思はざりけり
橋霞 春の野に橋うち渡るわが身をば 霞にそへて人や見るらむ
流れくる花に浮びて戯えては また瀬をのぼる春の若鮎
雨中蛙 山吹の雫枝にも縋りえで 蛙ながるる春雨の空
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