大隈言道研究 ささのや会
 
 
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【生活】 10首
あみ 大敷の網めづらしと 博多人わたりきて見る冬の姫島
爼板 数しらぬ魚の命は 板の上の刀の痕にしるしぬるかな
つくり得し妹が稼ぎのはだか麦 蝶とならでも飛びゆくが憂さ
寒夜 親も子もうちぞ揃ひて蕎麦湯さへ あられ降る夜はあはれにぞ飲む
貧家 聞き捨てて飯炊く親の見ぬまにも 声の限りに泣くうなゐかな
やがてまた底あらはれてあぢきなし 鼠も食める米の白櫃
親泣けば子さへ泣くなり 世の中の為む術なさも何も知らずて
貧居 うち延へて常になりぬるかね負ひ目 さても憂からぬわが心から
今はとてうち寝る時は 命さへわが身とともに伸ぶかとぞ思ふ
合わせてはまた解き放つ古衣 かくてぞ春も秋も経にける
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