『心音』多田孝枝句集
■本体2000円+税/四六判/206ページ /上製本
■ISBN978-4-911429-28-0 C0092
■2026.7刊
■関連書:『谺せよ 多田薫句集』 『俳誌六分儀 第11号』
響き合い、谺せよ
いのちの鼓動を写しとどめる清心一途な句の結晶。
コスモスの野の道を行くがごとき未来への種蒔き。
心音のしづかに激し天の川
春風やいのちの絆響き合ふ
髪洗ふをんなに生れし五指五感
コスモスやひとはをさなき日にかへり
寒晴や夫の言霊谺せり
[序:筑紫磐井 題字:山本素竹 装画:西島伊三雄]
序より 筑紫磐井
「心音のしづかに激し天の川」
「心音止むや十一月十五日」もあり、心音は夫・薫さんの動悸であろう。そこには夫の心臓と同期(シンクロ)する作者の心臓の音もある。素直であるが心象性の高い俳句だと思う。
「寒晴や夫の言霊谺せり」
薫さんの「全山の木の実降らせよ谺せよ」の句による句集名『谺せよ』と唱和する句だ。薫さんの句が山の全体に共鳴するような作者の思いだとすれば、そうした夫・薫さんの言葉に共鳴するのが作者なのである。
目次
川端茅舎短冊
川端茅舎直筆原稿
森崎和江色紙
田部光子「健康作品」
序文 心音は永遠に 筑紫磐井
響き合ふ[春]
つなぐ谺や[夏]
ふたりゐて[秋]
薫さん[冬]
生 還[二〇〇〇年 介護日記]
あとがき
季題別索引
【著者紹介】多田孝枝 (ただ・たかえ)
一九五三年、福岡市東区箱崎に生まれる。
福岡県立図書館郷土資料課司書勤務。
一九九三年、故小原菁々子氏に勧められ、俳句入門。
一九九五年、『ホトトギス』に投句を始める。
同年五月、有志による俳句鍛錬会「根っこの会」を福岡県立図書館にて発足、世話人。
一九九六年、『花鳥』所属。坊城俊樹氏に師事。
一九九八年、俳誌『ばあこうど』創刊。福岡市の自宅を編集部・事務局とする。
二〇〇〇年、一月十一日退職。
二〇〇四年、埋もれていた川端茅舎や往時の俳人らの直筆原稿などを発掘し「川端茅舎発掘関連資料」として分類・解読後、『ばあこうど』第6号より継続連載。
『道草』句集(夫婦句集『草笛』と二冊函入、二〇〇〇年)
『秋桜』句集(二〇〇六年)
二〇一四年、俳誌『六分儀』改題。代表・多田薫。久留米市の自宅を編集室とする。
二〇一五年、俳誌『六分儀』第11号刊行。
『ばあこうど』・改題後の『六分儀』創刊時から一貫して編集長・事務局長を務める。
「野見山朱鳥の世界展」「竹下しづの女展」「川端茅舎発掘関連資料公開展」ほか俳句展、講演会、シンポジウム、対談、美術展などを企画運営開催。
同人句集、画文集、遺文集ほか多くの編集に携わる。
二〇一八年十一月十五日、夫多田薫永眠。
二〇一九年、夫の遺志を継ぎ、『谺せよ 多田薫句集』を編集刊行。