『修験道文化考 今こそ学びたい共存のための知恵』恒遠俊輔著
■本体1500円+税/四六判/192頁/並製
■ISBN978-4-905327-22-6 C0039
■各紙に紹介されました。
「西日本新聞」読書欄 2.10/「毎日新聞」京築版12.27/「朝日新聞」京築版11.2
英彦山,求菩提山に連なる 旧豊前国・修験の里で---
山岳に霊力の源を求め,厳しい修行を通して祈りと共存の文化を育んできた修験道。
エコロジー,農耕儀礼,相撲,茶,阿弥陀信仰などに修験道の遺産を尋ね,その文化の今日的な意義を考える。やさしく語られた修験道入門。
【紹介する修験の山々】
英彦山、求菩提山、常在山如法寺、松尾山、蔵持山、
等覚寺、檜原山正平寺、御許山、稲積山 など
*旧豊前国=現在の京築地方全域を中心に、北九州市〔小倉・門司区〕、筑豊地方〔田川市・田川郡〕、大分県中津市・宇佐市にあたる。
【目次】
修験道とは何か
1 芸能に描かれた山伏たち/2 修験の山々
3 修験道とはいかなる宗教か/4 修行得験
5 山や森の大切さを想う/6 修験道の終焉
修験道とエコロジー
1 私の原点/2 宗教とエコロジー
3 修験道とエコロジー
修験道と農耕儀礼
1 水田稲作と祭/2 日本の神々
3 松会 山伏たちの祭/4 豊前の神楽
5 神楽と修験道との出合い/6 米作りを考える
修験道と相撲
1 十界修行のこと/2 相撲の始まり
3 勧進相撲/4 相撲と稲作儀礼
5 相撲と葬送儀礼
修験道と茶の文化
1 茶、古くて新しい飲み物/2 茶の歴史
3 茶の湯の道の完成/4 修験と茶
5 「のむ」風俗と日本人
6 スローフード運動を考える
修験道と阿弥陀信仰
1 阿弥陀信仰とは何か/2 修験道と阿弥陀信仰
3 死に支度いたせいたせと桜かな
【本文より】
豊前国の歴史と文化をひもとく時、そこには様々な特色を見出すことができるが、平安時代以来、数多くの修験道寺院や修行の場があったことも特筆すべきことであろう。それらに関連する遺跡も地域内には少なくなく、「修験道」は、地域の歴史と文化を考える上で貴重なキー・ワードだと言うことができよう。私はその昔この地に根を張った修験道という「祈りの文化」の中に見えてくる先人たちの心を受けとめてみたいと思う。そして、そこから我々現代人が学ぶべきは何なのかを探し求めてみたい気がする。これをお読みいただいた方々に、深山幽谷に臥して厳しい修行に挑んだ、彼の修験者たちからのメッセージを汲み取ってもらえれば幸甚である。
───「はじめに」より抜粋
【著者紹介】恒遠俊輔(つねとお・としすけ)
1944年,福岡県豊前市薬師寺に生まれる。1967年,早稲田大学文学部史学科卒業。1967〜93年,福岡県内で高校教諭を勤める。1993〜2012年,福岡県立求菩提資料館勤務(1999〜2012年,同館館長)。現在,日本山岳修験学会理事,豊前市文化財保護審議会委員,豊前市芸術文化振興協会会長。