図書出版

花乱社

『海と歴史と子どもたちと 高田茂廣先生遺稿・追悼文集』

 

■本体3000円+税/A5判/404頁/上製
■ISBN978-4-905327-16-5 C0095
■高田茂廣先生遺稿・追悼文集刊行会編
■各紙で紹介されました。
「西日本新聞」7.5 古文書読み解き海の暮らし追う/「読売新聞」かわらばん 5.26 小学校教え子ら遺稿集

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小学校教師30年、そして地域史研究30年──一貫して庶民の歴史を掘り起こし、郷土に対する誇りを語り伝えた高田茂廣先生(1928〜2009年)。
近世筑前の「浦」の実態を明らかにした代表的論文及び未刊行の歴史随想・小説・詩篇を集成、
併せて34名の寄稿により、「史は詩である」を実践した郷土史家としての全体像と多くの人に敬愛された人柄を伝える。

 美しければいいんだ
 遺伝の体質をなげくまい
 美しければいいんだよ。
 ──のうぜんかずら   (詩篇より)

     

    【本文より】 
     「さわら」。私の生まれ育った故郷の誇るべき地名であり、私は今もかつて「早良郡」と呼ばれていた地方の一部である能古島に住んでいる。
     もう十数年も前になるが、早良という所は古代王城の地ではなかったかと考えたことがあった。脊振山を頂点として北へ連なる二つの山稜。この二つの自然の城壁にも似た山々に囲まれた早良平野。中央を室見川が流れ、北は博多湾に面している。しかも、そこに残された弥生時代から古墳時代にかけての膨大な遺跡の数々。古代史や考古学には無縁の素人の私が、我田引水的思考の結果として「早良王城説」を唱えたくなるのも当然のことであろう。
     硬直した姿勢で語られた歴史は面白くないものである。「史は詩である」という言葉が好きなのだが、ときには心を広くして、ときには思い切り遊んで、ときには空想に浸ることも必要なことであろう。ただし、それは個人の心の中に秘められていなければならないという条件があろう。 (高田茂廣「古代感愛」より抜粋)

     

     高田茂廣〈1928-2009〉

    1928年4月29日,福岡市西新町に生まれる。1951年,福岡学芸大学(現・福岡教育大学)を卒業。以後,三十数年間,福岡市内にて小学校教師*を勤める。1981〜91年,福岡市立歴史資料館嘱託。1993年,第52回西日本文化賞を受賞。2001年,会長を務める福岡地方史研究会 古文書を読む会編纂の『福岡藩朝鮮通信使記録』が第8回福岡県文化賞(奨励賞)を受賞。2009年9月11日,逝去(81歳)。
    *1951年〜能古小学校、1953年〜姪浜小学校、1955年〜能古小学校、1961年〜赤坂小学校、1967年〜西新小学校、
     1970年〜能古小学校、1976年〜内野小学校、1978年〜北崎小学校西浦分校
    【単著】
    『能古島物語』能古歴史研究会、1971年、『筑前五ケ浦廻船』西日本新聞社、1976年、『能古島から』西日本新聞社、1977年、『能古島の歴史』私家版、1985年、『浜辺の子供たち---学校が遊び場だったころ』海鳥社、1987年、『近世筑前海事史の研究』文献出版、1993年、『玄界灘に生きた人々---廻船・遭難・浦の暮らし』海鳥社、1998年(共著・編著多数)


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