『移ろいの象形』 江本智美画集
■本体3000円+税/大スキラ判(245×250ミリ)/84頁/並製
■ISBN978-4-905327-15-8 C0071
■紹介されました。『美術の窓』5月号 日々の歌のように
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「画面のその先まで描き込みたいーー」
帰宅した女性のふと緊張がほどける時間、忘れられた人形、はじけたザクロ、故郷の面影……。
移りゆく時のなかで、あくまで生活のなかに題材を求め、常に絵とともに生きてきた江本氏。
作品・シリーズによって、まるで一人の人間が描いたと思えないほど、その印象はかわる。
これまで評価されてきたにもかかわらず、一度も個展を開かなかった江本氏の色彩豊かな作品のすべて。
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第一印象は女性の色彩世界ということ、相当に骨っぽい筆の作品があるなということだ。
色彩溢れる作品「ザクロ」や「福知山の日の出」などしっかり描き込んだ「香春岳」シリーズなどがあるが、特筆すべきは人物シリーズ、人形シリーズと「帰宅」「外出」シリーズだろう。
特に物語性を持つ「帰宅」「外出」シリーズは、いろいろ観る人に語りかけてくる。
「花衣ぬぐや纏る紐いろいろ」(杉田久女)を連想したことだ。この句は高浜虚子に「清艶高華」といわしめた数句の一つだ。
「帰宅」と「外出」という題名もドラマチックである。どちらも女性がひとりになった場面であり、その中間に他との出会いがあるのだから。画題として面白い視点である。 (評)
【著者紹介】 江本智美(えもと・ともみ)
1937年、福岡県田川郡福智町金田に生まれる(旧姓・金子)。1960年、女子美術大学芸術学部洋画科卒業。1969年から示現会展出品。日展入選4回。現在、示現会、福岡県展、筑豊美術展、筑豊洋画家展の会員。福岡県直方市在住。
*上左より「稽古ごとからの帰宅」F100/2005、「倉庫の一隅」F80/1982、ザクロ
下「青春の門の香春岳」F50/1994、「福知山日の出」F40/2000