図書出版

花乱社

『Blessing 光の天主堂』中山亜紀写真集

■本体2000円+税/A5判変型/128頁/並製
■2019.9刊
■ISBN978-4-910038-08-7 C0072
■書評:朝日新聞2019.10.16 毎日新聞10.6 西日本新聞10.29

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聖なる光を求めて教会をめぐり
天空の輝きの先に見つけたBlessing(祝福)
これらの写真は、永遠の光を灯すことを許された
神様からの贈り物──【写真家】川上信也

長崎,五島,平戸,島原・雲仙,佐世保,天草,福岡にのこる約50カ所の天主堂を収録。
8年の歳月をかけた珠玉の写真集。
●世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の地もめぐっています。

【本書エッセイより】

当然のことながら、100の教会には、100の表情がある。

山間の集落で、ひときわ異彩を放つ文化財のような建物。
長い年月をかけて、人々の生活にほどよく溶けこんだ佇まい。
あるいは、
横を通りすぎてもそれとは気づかないほどささやかな存在。
観光としての役割をまかされているところもあれば、
財産として守られているところも、少なからずある。……

シスターにうながされて、
一度だけ聖体拝領の列に参加を許されたことがある。
神父さまは、遠慮がちに並ぶわたしの頭に手をあてて、
静かに言葉をかけた。

あなたに、神の祝福を。

その手のあたたかさを、心の高揚を、満ち足りた気持ちを、
今、うまく言葉にするのはとてもむずかしい。
ただひとつだけ、確実に感じたことは、
宗教も人種も超えたところで、
人間だけに許された祈りという行為が
わたしたちにもたらすいつくしみと平穏。
それは、どのような感覚ともちがう、不思議な幸福だった。

撮影をはじめて、9年が過ぎた。
さなぎが蝶々に生まれ変わるように、みずみずしく明ける朝に、
ちいさな日常をかかえた人びとがおとずれる天主堂。
その窓辺にときどき降りてくる天使を、
わたしはまだまだ、見つけられずにいる。  


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






























































































































































【著者紹介】 中山亜紀(なかやま・あき)

福岡生まれで福岡育ち。旅先での記念写真をきっかけに,独学で風景写真を撮り始める。2011年頃から長崎のカトリック教会を作品のテーマとし,休日に出かけては撮影を重ねる。
2014年,第5回長崎写真コンクール「長崎の教会」部門にて最優秀賞を受賞。
2016年,富士フイルムフォトサロン福岡にて個展開催。
2018年,「第57回富士フイルムフォトコンテスト」フォトブック部門にて大賞を受賞。