『亀井南冥小伝』河村敬一著
■本体1700円+税/四六判/220頁/並製
■ISBN978-4-905327-28-8 C0023
■2013.10刊
■各紙に紹介されました。
「西日本新聞」2013.11.24/「秋田新聞」「神戸新聞」11.24
■著書:『亀井昭陽と亀井塾』(2023年)
近世福岡が生んだ儒学者・亀井南冥の生涯と学問。
朝鮮通信使との交流、「金印」の鑑定、そして福岡藩西学問所甘棠館(かんとうかん)の館長を経て、長子昭陽とともに亀門学を創始し多くの人材を育成した亀井南冥。市井に生き、幅広い交流を重ね、学問を貫いたその生涯を、分かりやすいかたちで伝える。
「はしがき」より
今日の日本における政治社会の混迷にあって、政治は学問であり、学問をすることこそ政治の要諦とする南冥の生きざまにふれ、できればその精神を踏まえてみるのも重要なことであろう。時代や状況などの違いはあるとしても、どのような人生であろうとも、今日の私たちに必要な指標を、一人の人物から学んでみたいものである。江戸期の日本における多くの学者たち、また地域に根ざし、生きてきた人物を辿ることは、決して無駄な作業ではないだろう。南冥の晩年は不遇と言えなくもないが、彼の歩んできた生涯は、一人の学者としての人生に「人間としてのあり方生き方」を見ることができるのではないだろうか。
人物及びその思想を研究することにはかなり難しいものがあると言えよう。福岡県内の江戸期の学者としては貝原益軒をはじめ、安藤省庵、青柳種信、伊藤常足、青木興勝等々もいて、その生き方や思想には考えさせられるものがある。人と思想は、私たちに何らかの示唆を提供してくれるとともに、それらを手掛かりとして自らのことを考えてみるのもよいのではなかろうか。
目次
はしがき/凡例
一 生い立ちと学問形成期
二 学問の確立期
三 遊学の時期とその成果
四 交友関係
五 藩儒への抜擢と学問所の設立
六 金印と『金印弁』
七 南冥への加増、そして罷免(廃黜)
八 罷免とその後
九 晩年、そして死
十 著作をめぐって
亀井南冥略年譜/引用・参照文献/あとがき
【著者紹介】河村敬一(かわむら・けいいち)
1952年、福岡県福岡市生まれ。現在、福岡市立福翔高等学校教諭、西南学院大学非常勤講師。著書:『思想と人間学』(甘棠社、1995年)、『公民科教育研究序説』(甘棠社、1996年)、『思想の世界を旅する─東西思想史ノート』(遊タイム出版、2002年)、『東洋思想のなぐさめ』(創言社、2008年)など 共著:『貝原益軒』(西日本新聞社、1993年)、『教育のなかの宗教』(新書館、1998年)など