『薩摩塔の時空 異形の石塔をさぐる』井形 進 著
■花乱社選書4
■本体1600円+税/A5判/176頁/並製
■ISBN978-4-905327-24-0 C0021
■各紙に紹介されました。
「西日本新聞」読書欄 3.31/「寺門興隆」3月号/「朝日新聞」1.30
「西日本新聞」1.9/「河北新報」1.13
どこで造られ、誰が、何のために、そこに安置したのか----。
鹿児島県坊津にて初めて文化財の世界に登場、以来半世紀、九州西側地域(福岡・佐賀・長崎・鹿児島)にのみ分布し 異風を放ってきた石塔の謎に、仏教美術史研究者が挑む。 基準作を突き止め、その故郷・中国への探索行の果てに、中世九州における大陸交渉の実像、東アジアの信仰と造形の歴史が浮かび上がる。
●掲載図版203点(仏像、石塔、宋風獅子ほか)
●薩摩とされる石塔一覧表:現存する38箇所を全て網羅
●薩摩塔関連年表掲載
【目次】
序
はじめに 異形の石塔
研究の始まり/首羅山の宋風獅子と薩摩塔
1 塔の出現と研究の歩み
薩摩塔と先学たち/平戸の調査と海の世界/五十年目の薩摩の調査
2 薩摩塔の輪郭
姿の概要/振り幅や構造について/作例数と分布のこと
3 制作地と制作時期
ゆらぐ時空/絞り込まれた制作地/時空を共有するもの/塔の環境と制作の時空
4 基準作の発見
平戸再訪/基準作の調査報告
5 薩摩塔の周辺
箱崎の中国製石造物/取り巻く類例たち/背景と源への目差し/異なる思想との対話
6 故郷を訪ねて
寧波への渡航/太白山天童寺巡礼行/仏教美術交流研究訪中団/浮かびあがる故郷
結びにかえて 薩摩塔の背景
塔の信仰者たち/神仙思想の面影/さらなる一歩
[資料編]薩摩塔とされる石塔一覧
薩摩塔関連年表
薩摩塔関連主要文献/主要参考文献
後記
【本文見本】
【著者紹介】井形進(いがた・すすむ)
昭和46年(1971),福岡県北九州市に生まれる。宗像市で成人し,九州大学文学部美学美術史専攻卒業後,九州歴史資料館学芸員となり,現在に至る。福岡県筑紫野市在住。専門は仏教美術史。九州における信仰と造形の歴史について,調査研究を進めている。平成15年(2003),「福岡平野と異風ある菩薩像─小田観音堂の千手観音立像を中心に─」で,第10回鹿島美術財団賞受賞。