図書出版

花乱社

『貨車捌く』(かしゃさばく)中山十防句集

■本体1700円+税/四六判/212頁/上製
■ISBN978-4-905327-49-3 C0092
■六分儀俊英シリーズ 第8集
■各紙に紹介されました。
「西日本新聞」俳句月評2015.10.23 「西日本新聞」佐賀県版11.19 「佐賀新聞」12.8
「東京新聞」俳句月評12.19「朝日新聞」2016.5.19 

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「鰯雲引き込み線の錆深く」
悠久の自然の営みにも、生きとし生けるもののささやかな日常にも、等しなみに注がれる眼差し。
質朴で伸びやかな句に写された命の刹那。
写生による句日記の正統。

 * *

赤子にも寝言のありて初笑ひ
節分の鬼早々に疲れ寝る
初つばめ駅舎をぬけて急昇す
石仏か標の石か蛇苺
紫陽花の家ごとの彩里の道
遠花火妻と二人になりしかな
滝壺は落葉しづめて藍に澄む
アイガーの北壁の威や濃りんだう
我が息の白きを見つむ駅深夜
年用意犬を洗ひて終りとす

 

【目次】[色紙]下村非文/永田蘇水
    駅深夜 昭和五十〜六十四年
    山茶花 平成元〜十五年
    赤 子 平成十六〜二十七年
    あとがき
    季題別索引

 * *

【あとがきより】
 この度、「六分儀俊英シリーズ」のお話を頂き、僭越なのではと思いましたが、国鉄・JR・関連会社に勤め、昨年六十五歳の節目を迎えまして、私なりにこれまでの未熟な句日記を纏めてみようかと、第8集として、初句集の上梓に踏み切った次第です。
 顧みると、昭和四十三年国鉄入社時、博多港駅という貨物駅に配属となり、俳師となる故永田蘇水先生、そして登山をご一緒した故北川蘇遊子さんとの出会いがありました。昭和四十八年、私の結婚式の折、蘇水先生より「相助け櫓を漕ぐ夫婦春の濤>」ほか二句の祝句を賜り、初めて俳句を身近に感じて、新聞紙上の俳句を時折拾い読むようになりました。昭和五十年、万年山月見登山時、蘇遊子さんたちの俳句談義に加わり、自然に句作指導を受け始めたように思います。(略)


【著者紹介】中山十防(なかやま・とんぼう)

昭和二十四年九月十二日、佐賀県唐津市に生まれる。昭和四十三年に国鉄(現JR)入社。昭和五十年より永田蘇水師に師事して、俳句を始める。昭和五十一年より『山茶花』誌友となる。昭和五十九年、山茶花同人。平成元年より公益社団法人日本伝統俳句協会会員。平成七年、「根っこの会」発足時より参加、同人俳誌『六分儀』同人会長。佐賀県唐津市在住