図書出版

花乱社

『季題別句集 行路』星野立子・星野椿・星野高士著

編集・発行=鎌倉虚子立子記念館
■本体2000円+税/四六判/244頁/上製
■ISBN978-4-905327-44-8 C0092
■編集協力:俳誌『六分儀』編集室

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虚子に遡る伝統を踏まえつつ、いかに明日につなげていくのか。
新作を含めた、同一季題による星野家の俳句三重奏。
四季・季題別に掲載し、時代や三作者の特徴をよく示し、将来古典になると思われる現代の句を精選。作句の貴重な手引きともなる座右の書。
【211季題収録】

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【本書より】
春の水
 昃れば春水の心あともどり 立子
 春水の流れの如く思ひ出す 椿
 落日を乗せて動くや春の水 高士
夏料理
 美しき緑走れり夏料理 立子
 京野菜豆腐もろもろ夏料理 椿
 川音を忘れてをりし夏料理 高士
天の川
 昼の間の出来ごと遠く天の川 立子
 銀漢や山湖の闇の深からず 椿
 銀漢や四十になりて虚子を思ふ 高士
冬の日
 大仏の冬日は山に移りけり 立子
 あの辺が小諸と思ふ冬日かな 椿
 老い松に入りたるままの冬日かな 高士

【あとがきより抜粋】
 平成二十六年六月、日本で初めての女流主宰俳誌『玉藻』が、千号を迎えた。これは昭和五年に、高濱虚子が次女である星野立子の才能に惚れ、自分よりも詩人である、と書いたことから始まったものである。/立子は、虚子の期待に応えて数々の名句を作り、『玉藻』と共に時が流れる。そして、妹の燒リ晴子や今井つる女といった身内の応援を受けながら、娘の星野椿へと継いでいった。その椿も、母・立子の俳句を踏まえながら、素直でかつ大胆な作品を『玉藻』その他の俳壇誌に発表して、独自の才能を発揮する。/千号を以て、母・椿が名誉主宰になり、私がこの歴史ある『玉藻』の主宰となった。/そんな時間の流れの中に生まれたのが『行路』である。走るばかりではなく、少し立ち止まって、立子、椿、そして私の俳句を同じ季題の中から並べることこそが、今現在の歴史なのだ。そして、それぞれの個性を一書に纏めることによって、共鳴し、新しい和音が聞こえてくるならば、こんなに楽しいことはないではないか。『行路』という題のとおり、今までの路とこれからの路は永遠なのである。立子の句、そして勿論、元気に活躍している椿の句の現在、私の句の今を味わっていただければ幸いである、/老若男女を問わず、気楽に読んで、五七五の俳句の世界に親しんでいただければと願っている。[星野高士]

【著者紹介】

星野立子(ほしの・たつこ)
明治三十六年、東京生まれ。高濱虚子の次女。昭和五年、俳誌『玉藻』創刊・主宰。句集に『鎌倉』、『立子句集』、『笹目』、『實生』、『春雷』など。昭和五十九年三月三日、永眠。八十歳。
星野 椿(ほしの・つばき)
昭和五年、東京生まれ。星野立子の長女。『玉藻』名誉主宰。鎌倉虚子立子記念館代表。「西日本新聞」、「神奈川新聞」俳壇選者。朝日カルチャー俳句教室、読売文化センター俳句教室などの俳句講師。句集に『早椿』、『華』、『波頭』、『雪見酒』、『マーガレット』、『椿四季集』、ほかに『俳句とともに』、『一日俳話』、『これからはじめる俳句入門』。
星野高士(ほしの・たかし)
昭和二十七年、鎌倉市生まれ。星野椿の長男。『玉藻』主宰。鎌倉虚子立子記念館館長。朝日カルチャー俳句教室などの俳句講師。日本文藝家協会会員。公益法人日本伝統俳句協会会員。句集に『破魔矢』、『谷戸』、『無尽蔵』、『顔』、『残響』、ほかに『美・色香』、『立子俳句365日』(共著)。NHK俳句講座講師。