『「教育労働者」という生き方:自分を守り子どもたちを守るために』岩山 治 著
■本体1700円+税/A5判/352頁/並製
■ISBN978-4-910038-13-1 C0037
■2020.3刊
■書評・紹介:「西日本新聞」2020.7.4「北海道新聞」9.27
■著者既刊:『革命家・源頼朝』
教師よ,諦めるな! 道はきっと拓ける─私の体験的「公教育」論
様々な矛盾や問題点を孕んでいる現在の教育制度と教育現場において,教師の負担は過酷さを増している。教師自身が労働者として変革していかなければ何も変わらない──。公立中学校教諭38年間の体験をも踏まえ,これからの教師の在り方,考え方を率直に議論する。
目次
はじめに
第一部 追いつめられ、追い出される教職員
第一章 〈死〉と隣り合わせの教職員
第二章 「若年退職者」の急増
第三章 新規採用者の早期退職
第四章 「非正規」教職員の増加
第二部 私の教職体験
第一章 旧産炭地での教職体験
第二章 政令市・福岡での教職体験
第三章 教職生活余談
第三部 私の体験的「教師」論
第一章 生徒たちとの関係で
第二章 保護者との関係で
第三章 同僚との関係で
第四章 管理職との関係で
第五章 地域・校区との関係で
第四部 近代公教育解明のために
第一章 「教育とは何か?」をめぐって 堀尾輝久著『教育入門』の批判的検討
第二章 「中学校社会科」にみる公教育の目的
第五部 私を導いてくれた〈本物のヒューマニズム〉
第一章 〈本物のヒューマニズム〉
第二章 近代公教育とは何か?
第三章 教師は労働者である
第四章 生徒たちは労働者の卵
参考文献
おわりに
本文より
二〇〇六年五月三一日、東京・新宿区内の小学校新任女教師が、「学級崩壊」を苦にして自殺を図り、翌日亡くなった。享年二三歳。教壇に立ってわずか二か月で自殺してしまったのである。残されたノートの最後に、
「無責任な私をお許し下さい。全て私の無能さが原因です。家族のみんな、ごめんなさい」
と書かれていたという。これは
「もっと休ませてくれ! もっと給料を上げてくれ!」
という労働条件に関する悩みでも要求でもない。教師の仕事の質(内容)にかかわる問題である。あえて言わせていただく。こんな「無駄な死」、そして「悔しい死」は金輪際無くさなければならない。これこそが、私が書き残そうとしているこの書の最大の目的であり、願いである。
*
誤解を恐れるのであえて一言しておきたい。私は決して「理想の教師像」、「あるべき教育」を求めようとしているわけではない。また自分が従事している近代公教育を通じて「理想の社会」を創造したり、その担い手を育成しようと呼びかけているわけでもない。むしろそのような考えや態度を唾棄してきたのである。そんなことが近代公教育を通じて可能であるなどとは、全く思っていないからである。今日の教育現場の息が詰まりそうな逼塞状態の根拠を明らかにし、この「教育困難時代」、「真冬日のような教育現場」をいかに生き抜くかを、私自身の教職体験をも素材として探究しようとしているのである。(「はじめに」より抜粋)
【著者紹介】岩山 治(いわやま・おさむ)
1939年,韓国・釜山で生まれる。
1941年,2歳のとき,父の転職に伴い中国(中華民国安徽省蚌埠)に転居。
1944年,仕事のある父を中国に残し,家族とともに内地(福岡県)に帰還。
1962年,福岡学芸大学(現・福岡教育大学)中学課程(社会科)を卒業。福岡県内公立中学校に助教諭の身分で赴任。翌年,教諭として正式採用。
2000年,公立中学校教諭を定年(60歳)退職。
【編著書】(私家版)
『─敗戦・被爆70年そして新たな戦争の危機─今こそ「反戦平和教育」を!』
『生徒たちを愛して元気にしなやかに─「学級通信」・「学年通信」づくりで生徒・保護者・同僚たちなどとの豊かな対話を!─』
『教師は子どもたちに己を語ろう!』
『小・中学生に宿題なんか出さなくても』
『福岡都心部の校庭の四季』
*上記著書及び私家版著作(いずれも1冊税込1100円)をご購読下さる方は,小社までご連絡下さい。