書評『平成田舎日記』
●「毎日新聞」2020.2.29
故郷の埋もれた歴史、忘れられた人々掘り起こし語り継ぐ 行橋の郷土史研究家・光畑さん 随筆集出版
行橋市下稗田の郷土史研究家の光畑浩治さん(73)が随筆集「平成田舎日記」を出版した。「故郷の埋もれた歴史、
忘れられた人々を掘り起こし語り継ぎたい」と1編1000字にまとめた365編を収録した。
光畑さんは元市教育部長。退職翌年の2008年、みやこ町の児童図書専門店から月刊情報誌のコラム執筆を依頼され、日々感じたことを柿綴ってきた。この掲載コラムなどを収め、みやこ町の書家・棚田看山さん(73)の書を添えた「田舎日記・一文一筆」を14年に、16年には行橋市のアマ写真家・木村尚典さん(80)の写真と合わせ「田舎日記・一写一心」を出版した。
「平成田舎日記」は随筆集の3作目。17年1月〜18年8月に書きためたコラムを収める。「ふるさと京築」「歴史を掘る」など7章で構成。第3章の「言の葉楽し」では都道府県名の由来、各地の方言でのあいさつなどを軽妙なタッチでつづっている。題字は棚田さん、挿絵は行橋市の画家、増田信敏さん(72)が描いた。
日記を欠かさず、3日に1編はコラムを書くという光畑さんは「自由気ままに続けたい」と話している。(川上敏文)
●「朝日新聞」2020.1.30
京築の歴史・文学 郷土史研究家の光畑さん出版
元行橋市教育部長で郷土史研究家の光畑浩治さん(73)=同市下稗田=が、書きためた随筆をまとめた「平成田舎日記」(花乱社)を出版した。京築築を主な舞台に埋もれた歴史や文学、世相などにスポットをあてた365編を収録。「表舞台に出ていない郷土の歴史や人々の思いをたくさん取り上げた。読者が古里の歴史に興味を持つきっかけになれば」と話している。
光畑さんは1968年に行橋市役所に入り、主に広報畑を歩んだ。教育部長を最後に退職した翌年の2008年、本と喫茶の店「瓢鰻亭・ひまわりこども」(みやこ町豊津)が発行する月刊通信「ひまわりばたけ」にコラムの連載を頼まれた。これを機に書くことに興味を覚え、日々の雑感や歴史、自然、政治、世界の動きなどについて1編1千字ほどの随筆を手がけるようになったという。
すでに、約5年間掲載したコラムなどと、書家・棚田看山さん(73)=みやこ町=の書を収めた「田舎日記・一文一筆」を14年に出版。2年後には、元郵便局長のアマチュア写真家・木村尚典さん(78)=行橋市=の写真とコラボした「田舎日記/一写一心」も出しており、今回はシリーズ3作目となる。
前2作は煩悩の数(108)だけ作品を収めたが、今回は17年1月から18年9月までに書いた365編を集めた。1日1編1年間にわたって読んでもらいたいとの思いを込めたという。
「ふるさと京築」「歴史を掘る」「記憶にのこる人びと」「平成という時代」など七つの章で構成。「日本のワインのルーツを探す」「清少納言は湯が好きだった」といった興味深い話も掲載している。題字は棚田さん、挿絵は画家増田信敏さん(72)=行橋市=が担当した。
A5判変型、392ページで税込み2200円。北九州市や行橋市の一部書店などで販売している。(小浦雅和)
●「西日本新聞」2019.12.21
日々書きためた随筆365編収録 地元の埋もれた歴史に光
行橋市の元教育部長で京築の郷土史に詳しい光畑浩治さん(73)が、日々、書きためた随筆365編を収めた「平成田舎日記」(花乱社)を自費出版した。光畑さんの「田舎日記」シリーズ3作目。「郷土史研究家」を自負する光畑さんが、古い書籍で見つけた地元の歴史秘話などを紹介している。
市役所退職から1年後の2008年、月刊情報誌にコラム連載を依頼されたのを機に随筆を書き始めた。日々の体験や感想、郷土で忘れられ、あるいは知られていない話題を取り上げた。掲載文を中心に、書家との共著「田舎日記・一文一筆」(14年)、写真家との共著「田舎日記/一写一心」(16年)を発表した。
その後も3日ほどで1編(千字)を書き上げるのが日課。年号が変わる節目でもあり、17、18年の「平成」時代に書きためた作品を世に出した。1日1編を読んで1年間楽しんでほしいと365編を収録した。
題材は文学や世相などさまざまだが、大横綱・双葉山のスカウト秘話「双葉山を見つけた高法山」や「農民詩人・定村比呂志」「豊津の侠客・明石千代吉」など、地元の埋もれた史実に光を当てている。「時代が巡っても、こういう史実は残ってほしい」と話している。
題字は地元の書家・棚田看山さん、挿絵は画家・増田信敏さんに依頼した。(石黒雅史)