図書出版

花乱社

 書評『小倉藩の逆襲:豊前国歴史奇譚』

●「日本経済新聞」2019.11.28
 現在の福岡件と大分県にまたがる豊前国と小倉藩の歩みを宮本武蔵、坂本龍馬らも登場する24の物語でたどる。例えば小倉城は細川忠興が前衛的な天守閣を築いた後、昭和の再建時にさらに立派な「破風」が付いた。幕末に外国船に攻撃される長州藩を見物したことが後に同藩との「小倉戦争」を招くといった史実を、当時の藩のお家事情や幕府との関係から読み解く。
 本州との接点であるが故に相次いだ争いを、今の街の風景や雑学も織り交ぜながら分かりやすく説明している。名もなき武士や町民、僧侶たちの思いと活躍も描く。筆者は元福岡県苅田町職員の郷土史家で、豊前国を舞台にした歴史小説もある。本作は若い人に地域の歴史を知ってもらう意図も込めたという。

●「毎日新聞」8.1
 毛利、細川氏、晋作、龍馬も登場 行橋市西泉の郷土史家、小野剛史さんが、歴史物語「小倉藩の逆襲 豊前国歴史奇譚」を出版した。戦国時代から幕末にかけて豊前国・小倉藩を舞台に、歴史上の人物や事件を題材として24話で構成している。小野さんは「若い人にも地元の歴史に興味を盛ってもらいたい」と話している。  第1話は「毛利元就、小倉に城を構える」。戦国時代、中国地方を制し、九州進出を試みた毛利氏が大友宗麟との戦いの最中、小倉の地に城を築いた際、船板を並べて城壁にしたエピソードを紹介。第4話「細川忠興、風変わりな天守閣を造る」では、関ケ原の戦いのあと、細川氏が本格的に築城に着手した小倉城を取り上げる。天守閣は最上層と下の層の間に庇がなく、最上層が大きく張り出す前衛的な「唐造り」。その姿は復元された現在の小倉城でも見ることができる。  その他、「高杉晋作、田野浦を占拠する」、「坂本龍馬、門司沖から攻撃する」、「小宮民部、城に火を付ける」─など幕末の混迷の中で幕府方の小倉藩の動きや苦悩などをつづった。  小野さんはみやこ町出身で元苅田町職員。「豊前国歴史物語」(2016年、花乱社)、「峠を出でて奇兵隊を撃て 幕末小倉藩物語(2017年、幻冬舎)を出版している。 (川上敏文) 

●「西日本新聞」7.18
小倉藩24の物語紹介
 元苅田町職員で郷土史家の小野剛史さん(62)が、小倉藩にまつわる史実をまとめた「小倉藩の逆襲 豊前国歴史奇譚」を出版した。小倉藩の24の物語を掲載し、若い人にも興味をもってもらえるように、歴史にまつわる雑学を書くなど工夫した。
 本では、小倉城を造った戦国武将の毛利元就(1497〜1571)や小倉の街の礎を築いた豊前小倉藩の初代藩主細川忠興(1563〜1646)、幕末時に田野浦(門司区)を占拠した長州藩(山口)の高杉晋作(1839〜67)などの物語を紹介。中でも、旧小倉藩家老で「知勇兼備の名将」といわれる島村志津摩(1833〜76)が1866年から始まった「小倉戦争」で、長州藩にゲリラ戦を挑んで窮地に追いやった史実を丹念に描いた。
 サッカーJ1「サンフレッチェ広島」の名前の由来は、毛利元就の「三本の矢」であることなど物語の導入に雑学を入れて、読みやすく親しめるようにした。
 小野さんは、熊本大卒業後、1982年に苅田町役場に入り、約10年前に町の50 年史を編纂。2年前には、幕末の小倉藩の動乱を描いた歴史小説 「峠を出でて奇兵隊を撃て 幕末小倉藩物語」を執筆した。  
 小野さんは「小倉藩を知ってほしいし、若者を中心に郷土の歴史に目を向けてほしい」と話している。(佐伯浩之)

●「読売新聞」7.17
 戦国から明治 人物に焦点
 かんだ歴史研究会世話人の小野剛史さんが、豊前国の歴史をまとめた「小倉藩の逆襲 豊前国歴史奇譚」を出版した。宮本武蔵ら偉人を通じて豊前の歴史を分かりやすく紹介した。小野さんは「若い人が郷土史に関心を持つきっかけになればうれしい」と話す。
  小野さんは苅田町の元職員。2002年に町史をまとめた記念誌の編集・執筆を担当し、郷土史の研究に本格的に取り組み始めた。15年には初の著作「豊前国苅田歴史物語」を出版した。
 研究対象は、小倉藩、豊前国全域に広がり、成果や考察はブログなどで発表している。今作は、これまで発表した研究結果を24編に再構成。豊前ふかりの人物に焦点をあて、戦国時代から明治維新期までをたどった。
 取り上げた人物は、巌流島(山口県下関市)の決闘で名高い宮本武蔵、幕末の第2次長州征討で奮戦した小倉藩の重臣島村志津摩ら。海難事故を防ぐため、北九州市門司区の部埼(へさき)海岸で焚き火をともし続けた僧侶・清虚 ら、市井の人々も紹介している。
  表紙は、北九州市小倉南区の絵本作家原賀いずみさんが担当。小倉城天守閣と「九州の日本橋」と言われた城下の常磐橋をイメージしている。
  小野さんは「幕末の小倉藩は長州藩との戦いに敗れた。そうした負のイメージを払拭し、歴史を見つめなおしてほしい」と話している。 (高松秀明)