図書出版

花乱社

 書評・紹介『ウナギの“想い”を探る:共に生きる未来へ』


●「日本養殖新聞」2014.11.25

 遙か2500km離れた外洋から、日本の河川まで大回遊する驚異のウナギの生態。しかし現在、もはやその存在は絶滅の危機に瀕しており、ウナギは地球生命系の未来を指し示しているといっても過言ではないだろう。
 本書は最新の研究報告から保全活動、伝統文化まで、ウナギと我々の未来を本気で考えた、28名の専門家とウナギ応援団の声をまとめたものである。
 最初に総論「ニホンウナギ─限りない魅力と神秘性」から始まり、次の序章は「地球の"先人"ウナギに学ぶ」、以下、第1章でウナギの生態や資源について説明するなど、合わせて七つの章で構成。絶滅の危機に瀕しているニホンウナギを多面的に分かりやすく分析・解説している。
 「飲食店をやっていると『食材としてのウナギ』として日々考え向き合わなければならないため、商売の具としての見方のみに陥りがちだが、この本では(中略)28名もの著者達が短文ながらも多様な観点からウナギを描きだしてくれており、ウナギというのはどういった生き物だったかを思い出させてくれる」とは、本書の執筆にも携わった福岡県の老舗蒲焼店の代表の言葉。我々も本書を、ウナギと共に生きる未来を考えるツールとしたい。