図書出版

花乱社

『[詩画集]とうさんがアルツハイマーになった :多桑譚』詩・絵=

■本体1200円+税/B6判/64頁/小口折り並製
■ISBN978-4-910038-58-2 C0092
■2022.8刊
■著者の本:『龍秀美詩集TAIWAN(中文版)』
      『印刷詩集』
■紹介されました:「西日本新聞」2022.9.1  

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「でも、アルツハイマーって意外とたのしい」
母が倒れ、父がアルツハイマーと診断されて始まったふたり暮らし。てんやわんやの毎日は、思いがけず楽しいものだった──。
やわらかに老いてゆく中で、これまでほとんど語ってこなかった、遠い記憶であるはずの故郷・台湾の断片がふとした瞬間に現れ、新たに父を発見する日々。
父の日常を描きとめたスケッチに台湾の風物画を織り交ぜ、詩と言葉を添えた。父と私の10年。


詩─目次

はじめに
  *
夫婦
メシ
宅急便
押す

【思い出】ひしの実
【思い出】チャポンとパチャン
【思い出】うちのカエル
【思い出】ケロ子
郵便局に行きたい
てんぷら
タマグス
迷子
横切る
山のかたち
母が言う─芭蕉とバナナ
冬薯夏魚
大叔父陳徳和家の家族
  * 
あとがきに代えて

 

はじめにより

 父にアルツハイマーの診断が下りて10年が過ぎました。この年月のてんやわんやを何かのかたちにしておきたく、詩と絵を組み合わせてこういうものを作ってみました。絵は手近なボールペンと色鉛筆で、父の言動をリアルタイムで描いたものです。今回書籍化にあたって、詩の挿絵として幾つかの水彩画を加えました。
 文章は父の言動に触発されて出てきた言葉の断片と、以前に書いた詩との脈絡のない寄せ集めですが、気にせず並べてみました。どれも父と私の人生の一コマです。
 父は台湾の台中・豊原に生まれ、中学生の時に台湾から日本に留学してそのまま居ついてしまった人です。その思いを偲んで台湾の風物も描いてみました。



【著者紹介】龍 秀美(りゅう・ひでみ)

1948年、父劉秀雅・母みち子の間に日本佐賀県で生まれる。1974年、日本に帰化。翌年初めて父の故郷台湾台中県豊原郷を訪問する。その頃から台湾をテーマにした詩を書き始める。2000年、第二詩集『TAIWAN』で日本現代詩人会第50回H氏賞受賞。第三詩集『父音』で第19回小野十三郎賞最終候補。他に『詩集 花象譚』(詩学社)、編著『一丸章全詩集』(海鳥社)、『龍秀美詩集TAIWAN(中文版)』(花乱社)など。