図書出版

花乱社

『私の散歩道:室見川中流域・飯盛山東麓の素描』 岩山 治 著

 

■本体1800円+税/A5判/304頁/並製
■ISBN978-4-911429-15-0 C0095
■2025.9刊
■著者既刊:
『「教育労働者」という生き方:自分を守り子どもたちを守るために』(2020年)
『革命家・源頼朝:隷属から「一所懸命」確立へ』(2022年)


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ああこれが
 花水木なら
  団地にも

20年前,定年退職を機に始めた散歩。
目に入る草花や木々,鳥や魚の名前を調べるために辞書や文献をめくる日々。
知ることで変わる風景。
学びは楽しく,少年時代の思い出も呼び起こされるー

いま八十路半ば,2013〜17年の随筆を織り込んだ散歩のすすめ。


目次

まえがき

【第一部】清流・室見川
  室見川
  第一章 室見川の流れ
      室見川の母なる脊振山系/清流・室見川/飯盛山と油山/室見川中流域周辺
  第二章 室見川中流域・河川敷の生きものたち
      小鳥・水鳥/淡水魚など/昆虫など/野の花/田や畑/樹木/
      風情が残る旧街道 次郎丸白壁通り

【第二部】飯盛山東麓の散歩
  飯盛山
  第一章 「私の散歩道」のコースに沿って
      私の散歩道
      [1]松風橋コース/[2]橋本橋コース/
      [3]やよいの風公園・金武小学校コース/[4]飯盛神社コース/
      [5]サンガーデン・コース/[6]羽根戸・野方コース/
      【余話】散歩道の大木
  第二章 飯盛山東麓に見る異常気象?
      二十四節気と七十二候
      飯盛山東麓の気象に異変

【第三部】散歩をより一層楽しむために
  さあ、歩こう
  身支度 草原や森林には危険がいっぱい/観察を深めるために/心がけてほしいこと

あとがき
参考文献・資料
「福岡市・室見川中流域地図」について
「福岡市・室見川中流域地図」


本文より

  私は二〇〇〇年三月、六十歳で公立中学校教諭を定年退職した。これを機に福岡市の教職員住宅から、早良区の室見川中流域に建つマンションに転居した。ここから第二の人生は始まった。とはいえ、二〇〇〇年四月から、それまでの生活すべてががらりと変わったわけではなく、散歩も週に二、三度、不規則に出かける程度であった。
 私が本格的に、かつ規則的に散歩に出かけ始めたのは二〇一〇年代、私が七十歳代に達してからであった。退職して間もないころは、転居したばかりのマンション周辺の様子を知るために市街地も歩いたが、本格的な散歩を始めたころは、田舎育ちの私は、いつの間にか自然環境豊かな室見川中流域の河川敷に集中していた。私が勝手に室見川中流域と呼んでいるのは、上流は金武中学校の近くにある松風橋から、下流は橋本橋までのおよそ六キロの範囲である。(略)

 当初、本書のタイトルを『室見川讃歌』にしようと考えていた。実際、室見川は素晴らしい。福岡市内を南から北、もしくは東から西へ流れて博多湾に注ぐ川は多い。よく知られている川は、多々良川、那珂川、御笠川などであろうか。そのほとんどの川は護岸工事が施され、住民と川の関係が断ち切られている。河川敷がない、あるいは付近の住民が河川敷に下りることができないのである。当然のことながら、下流になればなるほど水は濁っている。

 そんななかで室見川は最も清らかであり、中流域には河畔公園あるいは緑地・遊歩道も整備されて、住民の憩いの場になっている。河川敷は住民のウォーキングやジョギングあるいはサイクリングのコースなのである。夏になれば、川に入って水遊びする子どもたちの姿も見られる。大都会の川で水遊びのできる川などあまり聞かない。釣り人の姿もよく見かける。このように住民と川とがつながっているだけでも室見川は素晴らしい。水鳥や小鳥、蝶やトンボなどの昆虫、それらを育む多くの野の花や樹木などなど多くの生命が躍動している。これらの生命の四季の変化も見応えがある。夏鳥、冬鳥などの渡り鳥の姿も見られる。真冬でも室見川はにぎやかである。だからこそ室見川は近くの住民たちを惹きつける。(略)

 室見川の河川敷だけでなく、私の散歩道は飯盛山東麓に広がり、どちらも書き残しておきたいと思った。巻末に収めた「私の散歩道」地域である室見川中流域から飯盛山東麓の地図を参考にしながら、ご自分の散歩コースを工夫していただければよいのではないだろうか。この拙文が、退職後のみなさんの第二の人生を考える際の参考になれば、これほどうれしいことはない。(「まえがき」より)


【著者紹介】 岩山 治(いわやま・おさむ)

1939年 韓国の釜山で生まれる。
1941年 父の転職にともない家族とともに中華民国安徽省蚌埠に転居。
1944年 仕事のある父ひとりを中国に残し,母・祖父・姉弟らとともに両親の出身地である福岡県に帰還。 1962年 福岡学芸大学(現・福岡教育大学)中学課程(社会科)を卒業。公立中学校に助教諭として赴任。翌年,教諭として正式採用。
2000年 定年退職(60歳)。

【著書】『「教育労働者」という生き方─自分を守り子どもたちを守るために』(花乱社,2020年)
『革命家・源頼朝─隷属から「一所懸命」確立へ』 (花乱社,2022年)

【編著書(私家版)】『福岡都心部の校庭の四季』(2014年)
『生徒たちを愛して 元気にしなやかに─「学級通信」・「学年通信」づくりで生徒・保護者・同僚などとの豊かな対話を!』(2014年)
『小・中学生に宿題なんか出さなくても』(2015年)
『敗戦・被爆70年そして新たな戦争の危機─今こそ「反戦平和教育」を!』(2015年)
『教師は子どもたちに己を語ろう!』(2016年)
*編著書(私家版:それぞれ税込1100円)をご購読くださる方は,花乱社までご連絡ください。

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