図書出版

花乱社

『舌診論〈改訂増補版〉:新・臨床中医学 舌診篇』

■陳 勇 著
■本体9800円+税/B5判オールカラー/104ページ/上製本
■ISBN978-4-905327-88-2 C3047/2018.6刊
■著者の本『図解で分かる 新・臨床中医学入門〈新版〉』

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舌診現場でのカラー写真約300点を掲載,舌質の色・形,舌苔の色・形を体系的・論理的に分類して解説。約2万例の舌診の統計処理を通して,各種病理状態を解明した,画期的名著の改訂増補版。
【「新・中医学」提唱者による舌診論決定版テキスト】

■目次

 はじめに
第1章 概  論
 第1節 舌と臓腑の関係
 第2節 舌診の臨床価値
 第3節 舌診の診察方法
第2章 総  論
 第1節 正常な舌診
 第2節 異常な舌診
 第3節 危険な舌診
第3章 舌診の分析
 第1節 働きとの関係
 第2節 栄養との関係
 第3節 働き・栄養との関係
 第4節 異常な排泄物との関係
 第5節 気血の流れの病理状態との関係
 第6節 寒・熱との関係
 第7節 実の病理状態との関係
第4章 臨床症例
 第1節 危険な舌診
 第2節 働 き(歯痕舌)
 第3節 栄 養(光滑舌)
 第4節 働き・栄養(裂紋舌・嫩舌・小舌・短舌)
 第5節 異常な排泄物
 第6節 気血の流れの異常
 第7節 その他
第5章 臨床診断ポイント2
 第1節 診断ポイント
 第2節 弁証名の書き方
 あとがき


■「はじめに」より
 舌診というのは,舌の状態から人体の異常を調べる方法であり,伝統医学における何千年前からの診察方法である。舌診は,中医学における“四診”(望診・聞診・問診・切診)という診察方法中の一つである望診において重要な位置を占める。中医学では“四診”で患者さんを診察し,中医学の理論で分析して直観的に証を定めるが,その中で舌診それに脈診は特別に重要な診察方法となっている。
 舌診と脈診を較べると,脈診にはやはり個人の感覚の差があって,10人の医者が同じ患者を診察しても,共通の脈診を得られるかどうかは非常に困難であるが,舌診は分りやすくて,誰が見てもだいたい同じ結果を得られる。しかし,今までの舌診の見方は,はっきりと分からないことが多く,イメージで決めて,病理状態も曖昧であった。
 そこで筆者は,デジタルカメラでたくさんの舌をきれいに撮影し,コンピュータで観察し,舌診の見方を体系的に分類した。さらに,舌診病理状態と臨床症状,脈診,動き負荷テストなどを統計的に再検討した。これにより,診断の標準化や,治療前後の舌診の変化を正確に評価することができるようになった。
 このような事情からも,今日,伝統医学(漢方・鍼灸・按摩・指圧など)の治療方法を使う時には舌診の診察方法がよく用いられている,と言えるのである。

 本書では,約2万例の臨床の舌診から,はっきりと分かりやすいものを選び出し,「新・臨床中医学」の考え方に基づいて,正常な舌質の色と形及び舌苔の色と形,異常な舌質の色(紫絳・紫・暗・淡白・偏紅・紅・絳・絳暗)と形(歯痕・光滑・裂紋・嫩・痩・小・短・芒刺・斜・巻・?血点・胖・大・舌瘡・舌腫)及び異常な舌苔の色(白・白黄・白中黄・黄・黒)と形(薄・厚・潤・燥・膩・腐・剥)をそれぞれ掲げ,体系的・理論的に分類して,カラー写真を参照しながら説明した。
 次に,舌診の種類別に,舌診の見方(見分け方),鑑別,各舌診のメカニズム,タイプ分けをし,その上で,臨床でよく見られる舌診の種類と種類の間の舌質の色と形,舌苔の色と形との間の関係についても分析して検討を加えた。その中では,例えば,従来,熱とよく関係があるとされてきた絳舌のメカニズムが?血の病理状態にも関係があることなど,これまでの考え方とは違う見方も打ち出している。
 さらに,症例として,「新・臨床中医学」の「問診診察診断システムソフト」を用いて,患者さんの臨床症状を調べて弁証し,証に従って漢方と鍼灸の治療方法を用いて治療した前後の舌診の変化を較べて解説した。
 また,舌診の分析データと臨床症状を較べ,その治療前後の結果から,各種類の舌診に対して病理状態を「重(V)・中(U)・軽(T)」と量的に分けてみたが,これは臨床の舌診を標準化して,患者さんの治療前後の効果を評価する時に役立つのではないかと思う。
 最後に,「新・臨床中医学」の理論に基づいて,臨床症状・所見・舌診・脈診・動き負荷テストのデータを併せて統計的に検討し,各種舌診の病理状態を解明して,従来の舌診の病理状態を見直し,新しい考え方を加えて,分かりやすくて簡単な舌診の臨床診断ポイントや診察カルテとして提唱した。さらに,「舌診の診察診断システムソフト」(別売り)を開発して,共通な診断(弁証)や治療ができるよう提唱した。

 このように本書では,舌診を分かりやすくカラー写真をまじえて体系的に解説し,筆者の新しい見方も加えて打ち出している。これから舌診を勉強しようとする初心者にも学びやすく,また,ある程度の経験者や研究者にも役立つよう工夫して編集をしたつもりである。
 舌診がより多くの人に理解され,舌診が診察方法としてより広く普及していくことを願ってやまない。
 



【著者紹介】陳 勇  (チン・ユウ/chen yong)

中華人民共和国江西省永新県に生まれる
1981年,江西省医学院吉安分院卒業
    江西省永新県人民医院中医師(1992年より講師)
1993〜95年,九州大学医学部外国人研究員
1995年,福岡大学大学院体育学研究科入学(スポーツ医学
 専攻,1997年卒業)
1997年,福岡大学外国人研究員(スポーツ医学研究室)
1998〜2008年,鍼灸の専門学校講師
2009年〜,福岡天神医療リハビリ専門学校鍼灸科講師
福岡市在住

著書:『経絡テスト』(共著,医歯薬出版,1999)
   『新・臨床中医学入門』(海鳥社,2001)
   『舌診論』(不知火書房,2003)
   『?血論』(不知火書房,2004)
   『新・臨床中医学入門[改訂増補版]』(海鳥社,2006)
   『脈診論』(海鳥社,2010)
   『[新版]新・臨床中医学入門』(花乱社,2018)