図書出版

花乱社

『いのち輝く有明海を:分断・対立を超えて恊働の未来選択へ 森里海を結ぶ[3]』田中克編

■本体2000円+税/A5判/312頁/並製
■ISBN978-4-910038-09-4 C0051
■2019.9刊
■関連書:『森里海連環による有明海再生への道』(2014.7刊)
『いのちのふるさと海と生きる 森里海を結ぶ[1]』(2017.6刊)
『女性が拓くいのちのふるさと海と生きる未来 森里海を結ぶ[2]』(昭和堂刊)→こちらへ

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国営諫早湾干拓事業は1997年の潮受堤防閉切により,深刻な「有明海異変」を引き起こし,その後の訴訟の乱立では相反する司法判断により地域社会は分断され混迷を極めた。その根本には,政官業の癒着構造と日本型公共事業の悪弊があった。
行政と司法に翻弄され対立せざるを得ない状況に置かれていた漁業者と農業者,そして地域社会が恊働し,未来世代のために諫早湾,有明海,干拓農地,多良山系の多様な生きものの命を育み,自然の循環を基盤にした持続可能社会をつくることはできないだろうか。
自然科学,社会・経済学などの研究者,有明海に生きる人々(漁業者,農業者,市民),また司法の立場から様々な知見を結集し,総合的に有明海問題の理解を進め,有明海問題の本質と未来を考える。地域社会を再生し,森里海をつなぐことを目指して。
【元NHKニュースキャスター/NPO法人ガイア・イニシアティブ代表 野中ともよ氏推薦】



【執筆者】
田中 克  京都大学名誉教授,舞根森里海研究所長
服部英二  地球システム・倫理学科常任理事,会長顧問
中尾勘悟  肥前環境民俗写真研究所代表
平方宣清  佐賀県太良町漁師
松尾公春  農業生産法人(株)マツオファーム代表
佐藤正典  鹿児島大学理工学研究科教授
木下 泉  高知大学海洋生物研究教育施設教授
堤 裕昭  熊本県立大学環境共生学部教授
煖エ 徹  熊本保健科学大学共通教育センター
宮入興一  長崎大学名誉教授
開田奈穂美 東京大学特任助教
堀 良一  「よみがえれ!有明訴訟」弁護団・弁護士
横林和徳  諫早湾干拓問題の話し合いの場を求める会事務局
木庭慎治  福岡県立伝習館高等学校教諭
松浦 弘  熊本県立岱志高等学校教諭
鳥居敏男  環境省「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトチーム副チーム長


【目次】
はじめに:ムツゴロウの思い(田中 克)
第1章 地球システム・環境倫理と有明海
 森里海を紡ぐ:いのち輝く有明海社会をデザインし直す(田中 克)
 クストーの思想に学ぶ(地球システム・倫理学会常任理事/会長顧問  服部英二)

第2章 有明海を宝の海に戻したい
 諫早湾と有明海の今昔(肥前環境民俗写真研究所代表 中尾勘悟)
 有明海を"宝の海"に戻したい(佐賀県太良町漁師 平方宣清)
 諫早湾中央干拓地で農業に生きる(農業生産法人(株)マツオファーム代表 松尾公春)
 【コラム】ムツゴロウとシソとドングリとウナギの語らい(田中 克)

第3章 有明海の環境と生物多様性
 有明海の干潟の大切さ(鹿児島大学理工学研究科教授 佐藤正典)
 稚魚研究から見た有明海の異変と未来(高知大学海洋生物研究教育施設教授 木下 泉)
 諫早湾における潮受け堤防の建設が有明海異変を引き起こしたのか?(熊本県立大学環境共生学部教授 堤 裕昭)
 諫早湾調整池がもたらす負のインパクト(熊本保健科学大学共通教育センター 煖エ 徹)

第4章 有明海再生を経済学・社会学から見据える
 諫早湾干拓事業の公共事業としての失敗と有明海地域の再生(長崎大学名誉教授 宮入興一)
 地域社会に置かれた技術:潮受堤防の内側と外側で(東京大学特任助教 開田奈穂美)

第5章 司法の倫理や役割と世論形成
 問われる司法と有明海再生(「よみがえれ!有明訴訟」弁護団・弁護士 堀 良一)
 諫早湾干拓問題の話し合いの場を求める署名活動:未来への確かな手ごたえ(諫早湾干拓問題の話し合いの場を求める会事務局 横林和徳)

第6章 有明海再生への展望
 韓国順天干潟の再生保全に学ぶ:高校生の役割(福岡県立伝習館高等学校教諭 木庭慎治/熊本県立岱志高等学校教諭 松浦 弘)
 ラムサール条約と森里川海プロジェクトから有明海再生を展望する(環境省「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトチーム副チーム長 鳥居敏男)
 森は海の恋人から有明海の再生を展望する(NPO法人森は海の恋人理事長 畠山重篤)

おわりに:いのち輝く有明海社会を(田中 克)
有明海に魅せられて:生命の色彩・干潟を染めるハママツナの紅葉(木版画家 牧野宗則)



【編者紹介】田中 克(たなか・まさる)

1943年,滋賀県大津市生まれ。京都大学名誉教授,舞根森里海研究所長,NPO法人森は海の恋人理事,NPO法人SPERA森里海・時代を拓く理事ほか。1970年代に水産庁西海区水産研究所に勤務し,宝の海有明海に出会い,筑後川河口域で稚魚研究を続ける。ヒラメやスズキの稚魚研究を通じて森林域と海域の不可分のつながりに気づき,森と海のつながりとその再生を目指す統合学問「森里海連環学」を2003年に提唱。社会運動「森は海の恋人」との協同を進める。森と海をつなぐ干潟や湿地の再生に有明海と三陸沿岸域で取り組む。シーカヤックで日本の沿岸漁村を訪ねる海遍路に参加。著書に『森里海連環学への道』(旬報社,2008年),『増補改訂版森里海連環学』(京都大学フィールド科学教育研究センター編,京都大学学術出版会,2011年),『森里海連環による有明海再生への道』(花乱社,2014年),『森里海を結ぶ(1)いのちのふるさと海と生きる』(同,2017年)など。