図書出版

花乱社

『小倉藩の逆襲:豊前国歴史奇譚』小野剛史 著

■本体1600円+税/四六判/232ぺージ/並製
■ISBN978-4-910038-01-8 C0021
■2019年7月16日発行
■書評:
朝日新聞2019.12.11、日本経済新聞11.28、毎日新聞8.1、読売新聞7.17、西日本新聞7.18
■著書:『豊前国苅田歴史物語』
    『負け戦でござる。:北九州豊前国敗者列伝』

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武蔵から坂本龍馬まで──無類に面白い昔の小倉。
毛利元就、細川忠興、小笠原忠真、高杉晋作,島村志津摩、小宮民部など豊前国小倉藩をめぐる人々の二十四の物語。
小倉城は元就により難破船の舟板を城壁に使って築かれた?
『豊前国苅田歴史物語』につづく豊前国歴史シリーズ第二弾!


【本文より】
 「はじめに 世界一かんたんな豊前国の歴史」より(抜粋)

 「お国はどちらですか?」
 少し前まで、出身地を訊ねるときに、そんな聞き方をしている人がいました。知りたいのは出身の都道府県だったとしても、自然に「お国」という言葉が出たものです。…
 本書は、戦国時代から幕末までの小倉藩の物語です。藩の物語は豊前という国の物語と寄り添います。
 ところが、この豊前国というのが、どうにも影が薄いのです。理由は、その複雑さにあります。例えば、肥後国はほぼ熊本県であり、土佐国はほぼ高知県であるのに対し、豊前国は福岡県と大分県に分かれているのです。福岡県の中心は筑前国で、大分県の中心は豊後国ですから、豊前国はどっちつかずの存在です。…
 豊前国は次の八郡からなっています。

 企救郡 北九州市門司区・小倉北区・小倉南区
 田川郡 田川市・田川郡及び嘉麻市の一部
 京都郡 京都郡苅田町及び行橋市・京都郡みやこ町の一部
 仲津郡 行橋市・京都郡みやこ町の一部
 築城郡 築上郡築上町及び豊前市の一部
 上毛郡 築上郡吉富町・上毛町及び豊前市の一部
 下毛郡 中津市
 宇佐郡 宇佐市及び豊後高田市の一部…

 豊後の大友氏と周防・長門の大内氏、さらには下刻上で大内氏に取って代わった毛利氏の間で豊前国の争奪戦が繰り広げられました。特に、大友宗麟(義鎮)と毛利元就は豊前国の門司城や蓑島を舞台に激しい攻防戦を展開しました。
 しかし、大友宗麟も毛利元就も、彗星のごとく現れた豊臣秀吉に屈します。九州を平定した秀吉は豊前国のうち、企救郡・田川郡を側近の森吉成に宛がい、残りの六郡を軍師の黒田官兵衛(孝高)に与えました。森吉成は毛利氏にあやかって毛利勝信と名乗り、小倉城を居城としました。黒田官兵衛は下毛郡に中津城を築きました。
 豊臣秀吉の死後に起こった関ヶ原の戦いで徳川家康が天下を掌握すると、豊前国一国は豊後二郡(国東郡・速見郡)とともに、細川忠興に与えられます。忠興は当初は黒田官兵衛が築いた中津城にいましたが、すぐに小倉城に移り、天守閣を築きます。
 ここに、小倉藩が誕生しました。しかし、細川氏はわずか三十年余りで熊本に転封になりました。
 代わりに豊前六郡を得て入ってきたのが、明石藩主だった小笠原忠真です。小笠原氏の小倉藩は明治維新まで約二百四十年続きます。本書の多くが小笠原藩の話です。…

【目次】
はじめに 世界一かんたんな豊前国の歴史
第一話 毛利元就、小倉に城を構える。
第二話 高橋鑑種、独立をめざす。
第三話 森吉成、毛利を名乗る。
第四話 細川忠興、風変わりな天守閣を造る。
第五話 宮本武蔵、舟島で決闘する。
第六話 小笠原忠真、小倉藩主となる。
第七話 宮本伊織、武蔵の顕彰碑を建てる。第八話  石原宗祐、九十四歳まで働く。
第九話 菱屋平七、中津街道を歩く。
第十話 小笠原忠固、大老をめざす。
第十一話 島村志津摩、蒸気機関車を見る。
第十二話 糸引きおたね、人気者になる。
第十三話 小宮民部、リアリズムに徹する。
第十四話 高杉晋作、田野浦を占拠する。
第十五話 小宮民部、窮地を脱する。
第十六話 小笠原忠幹、死なせてもらえず。
第十七話 坂本龍馬、門司沖から攻撃する。
第十八話 小笠原長行、逃げる。
第十九話 小宮民部、城に火を付ける。
第二十話 平次郎、百姓一揆を首謀する。
第二十一話  島村志津摩、ゲリラ戦を展開する。
第二十二話 葉山平右衛門、秋田に死す。
第二十三話 島村志津摩、桜を愛でる。
第二十四話 ブラントン、灯台を設計する。
参考文献/おわりに


 

【著者紹介】小野剛史(おの・たけし)

1956年,福岡県京都郡犀川町(現みやこ町)に生まれる。福岡県立豊津高等学校(現育徳館高等学校),熊本大学を卒業。苅田町職員となり,長い間,広報を担当。苅田町合併50周年記念誌『軌跡 かんだの歴史』(2005年)を編集・執筆。著書に『豊前国苅田歴史物語』(花乱社,2016年),『峠を出でて奇兵隊を撃て─幕末小倉藩物語』(幻冬舎,2017年),共著に『京築を歩く』(海鳥社,2005年),『図説 田川・京築の歴史』(郷土出版社,2006年)など。美夜古郷土史学校,かんだ郷土史研究会,苅田山城研究会の会員。