図書出版

花乱社

『大杉栄と伊藤野枝』示車右甫編

■本体1500円+税/A5判/192頁/並製
■ISBN978-4-910038-66-7 C0021
■2022.10刊
■著書:『瀬戸焼磁祖 加藤民吉、天草を往く』
    『日朝交隣外史ノート』
    『わたつみの雄・阿曇族』


ご注文方法はこちらへ。


大正期,社会主義・女性解放運動の先頭に立ち,因襲から抜けだそうともがき駆け抜けた大杉栄と伊藤野枝。本書では主に,二人と『青鞜』を創刊した平塚らいてうが残した文章を選集し,彼らの思想と生き方を辿った。
【詞華集から浮かび上がる その思想と生き方】




目次

第一章 大逆事件
第二章 大杉 栄
第三章 青  鞜
第四章 伊藤野枝
第五章 日本脱出
第六章 甘粕事件
第七章 神近市子
 参考文献


本文より

大杉 栄……「多くの日本人は今目ざめつつある。其の資本主義と軍国主義との行きづまりに気づきつつある。そして殊に注意しなければならないのは、若し此のままで行けば亡国の外はないと云ふところから、此の旧い日本を根本的に変革して、新しい日本を建設しようと云ふ思想が、有力な愛国者等の間に起りつつある事だ。
 僕等はもうぼんやりしている事は出来ない、と云ふのはそこだ。僕等労働運動者や社会主義運動者は、此の分裂に対して、どんな態度をとるべきであらうか。
 労働者は、一切の社会的出来事に対して、労働者自身の判断、労働者自身の常識を養へ。そして其常識を具体化する威力を得んが為の、十分なる団体的組織を持て。労働者の将来は、ただ労働者自身の、此の力の程度如何んに係る。」
 (『労働運動』第二次第一号〔一九二一年一月二十九日〕より抜粋)

 * * *

伊藤野枝……「私共は、いつも私共自身でなければなりません。久しい因習は男が女を所有するというような事を平気にしています。女もまたこの頃の新しい思想に育てられた人々でさえも、自分の気にいった男でさえあれば、よろこんで所有されます。これは恥ずべき事です。
 婦人の自覚という言葉もずいぶんいい古されました。しかし、今一番婦人にとって必要な事は、もっと意志を強くする事です。日本ばかりではない、全世界の女たちにとってもそれは必要以上の必要ですが、ことに日本の若い婦人達のセンティメンタリズムは、いつまでたっても、女達自身を幸福にする事は出来ません。 
 どんな一身上の過失も、自分の意志次第で立派な試練になります。過失はただ、恥じたり悲しんだりするのみすべきではありません。私共はむしろそんな無用な事は止めにして、その過失に対してもっと立派な研究的態度をとる事が必要です。そしてその時に私共はそこから無限の力強い教訓を受ける事が出来るでしょう。」
 (「成長が生んだ私の恋愛破綻」『婦人公論』一九二一年十月号より抜粋)




【著者紹介】示車右甫(じしゃ・ゆうほ)

1931(昭和6)年,福岡市に生まれる。
1950(昭和25)年,福岡市立博多工業高等学校卒業。
2004(平成16)年,東福岡信用組合退職。
【著書】
『断食者崩壊』(1967年。福岡市民芸術祭賞・小説部門の一席)
『天草回廊記』(上・下,文芸社,2006・08年)
『対馬往還記』(海鳥社,2009年)
『天草回廊記 志岐麟泉』(海鳥社,2010年)
『天草回廊記 隠れキリシタン』(海鳥社,2012年)
『廃仏毀釈異聞』(海鳥社,2014年)
『歴史探訪 天草興亡記』(海鳥社,2015年)
『瀬戸焼磁祖 加藤民吉,天草を往く』(花乱社,2015年)
『天主堂二人の工匠─小山秀之進と鉄川与助』(海鳥社,2016年)
『破戒僧親鸞』(櫂歌書房,2019年)
『日朝交隣外史ノート』(花乱社,2020年)
『維新の魁 筑前勤王党』(海鳥社,2020年)
『わたつみの雄・阿曇族』(花乱社,2021年)