図書出版

花乱社

『詩集 花もやい』 岡田哲也著

 

■本体2000円+税/A5判変型/114頁/上製
■ISBN978-4-905327-77-6 C0092
著者既刊『憂しと見し世ぞ』


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うぶすなの宙〈そら〉と地の間で、
遠い日の少年のまじなう声を聴くような、
岡田哲也の新しい詩世界。

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わたしの声が 聴こえるか
それがわたしだと あなたにはわかるか

わたしは すぼみ
耳奥では ときじくの蝉が鳴いている
目交には ときおり飛蚊が舞っている

しかし わたしには あなたの声が聴こえる
あなたの沈黙すら ありありと見える   ──「聴こえるか」より



【目次】
宙うた
 わたしの青空 鯖によせて
 浮き草
 日 記 矢岳高原にて
 沈丁花のころ
 うぶげ
 糸瓜のうた
 やぶつばき
 桃の花のころ
 コスモス
 残りの月 五月二十四日
 浜昼顔 
 ごほうび
 
地こえ
 聴こえるか
 おるすばん
 杭のたそがれ
 小春日情景
 いろりばた
 北風と椿
 雨 糸
 たらちね
 ある日
 日 記 焼酎とカラオケと 
 鮎のうた
 千 鳥 
 かたすみのうた 

あとがき 


【あとがきより】
 『花もやい』は、「宙うた」と「地こえ」から成っています。私なりの花鳥風月そして天地人の一冊です。
 かつて中野重治さんは「おまえは赤まんまの花やとんぼの羽根を歌うな」(作品「歌」)と歌いました。若い頃私は「そうだそうだ」と頷きながらも、きっとこの人は痩せ我慢の気骨の人なんだと思ったものでした。むろんこの思いは、今も変わりません。

 広島生まれの父と天草生まれの母が、駆け落ちよろしく流れ着いた鹿児島県出水市。そこで戦後生まれた私は、十四人兄弟の末っ子だったからでしょうか、ガキの頃から、惣領の鷹揚さや長子の風格とは無縁の子でした。人や牛の機嫌や風や山川の気息をうかがいながら、それらに溶けこんだり、時に取り入ったり。ただ目立たないように目立つということにはいささかたけた、キモい子でした。後に勘当された時も、むしろ家なき子になったような気安さを感じたほどです。
 こんな男が生家近くの「ふるさと」に棲んで四十五年にもなります。さしたる自負も執着もありません。おそらく、この地との縁が尽きるまでは、私はここに居るでしょう。なんとなく今浦島か「浅茅が宿」の勝四郎の気分です。よくもまあ今日までと、ため息つきながら、それでも有難や有難やと歌い続けてゆくのでしょう。

 本書の大半は『茜ときどき自転車』(二〇一二年)と『酔えば逢いたい人ばかり 薩摩焼酎讃歌』(二〇一四年)以後の作品です。ふだんから、詩の言葉も、耳近に、口鈍くこそまことなれ、などとほざいてますが、なあに勝手にやってるだけのことです。命の程はさておき、私の歌は、どこまで届くのか、永らえるのか。詩集の舫いは解かれましたが、さて……。
  平成二十九年五月     岡田哲也 


【著者紹介】 岡田哲也(おかだ・てつや)

一九四七年、鹿児島県出水市生まれ。ラ・サール高校卒業。
東京大学中退。出水市在住。

詩集
『白南風』一九七八・七月堂
『海の陽山の陰』一九八〇・七月堂
『神子夜話』一九八二・砂子屋書房
『夕空はれて』一九八四・七月堂
『にっぽん子守唄』一九九五・碧楽出版
『現代詩人文庫 岡田哲也詩集』二〇〇五・砂子屋書房
『往来葉書 鬼のいる庭』(画:小林重予)二〇〇九・海鳥社
『わが山川草木』二〇〇九・書肆山田
『茜ときどき自転車』二〇一三・書肆山田
『酔えば逢いたい人ばかり 薩摩焼酎讃歌』二〇一四・南日本開発センター
エッセイ
『不知火紀行』一九八九・砂小屋書房
『詩季まんだら 上・下』一九九二・七月堂
『南九州文学ぶらり旅』一九九八・文化ジャーナル鹿児島社
『夢のつづき』二〇〇一・南日本新聞社
『続・夢のつづき』二〇〇二・南日本新聞社
『憂しと見し世ぞ』二〇一一・花乱社
物語
『川がき 春』二〇〇六・南日本新聞社
『川がき 夏』二〇〇七・南日本新聞社
『川がき 秋』二〇〇八・南日本新聞社
作詞
「夢のつづき」南こうせつ作曲
「組曲 かごしま」久保禎作曲
「組曲 川内」脇本正作曲
「大地の下には」福島雄次郎作曲 ほか多数

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