図書出版

花乱社

『憂しと見し世ぞ』 岡田哲也著

 

■本体2000円+税/四六判/280頁/上製
■ISBN978-4-905327-06-6 C0095

■書評:浦辺登氏書評 2020年3月
   「西日本新聞」2011年10月9日付 読書欄 「中日新聞」2011年9月11日付

■著書:『詩集 花もやい』
    『詩画集 春は自転車に乗って』


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1969年、大学紛争真っ盛りの時期に村上一郎と出会う---青春期の彷徨を綴った「切実のうた 拙劣のいのち」ほか、“田舎暮らしの過客”として家族やふるさとへ寄せる想いをつづったエッセイを集録。


    「村上一郎のことを思うといつも私の中で花が騒ぐ。灯のように咲く時もあれば、花吹雪のように散る時もある。だが、私はここで、村上一郎のことを書こうとして、結局自分のことしか語らなかったような気がする。
  •  ただ私は、村上一郎から姿勢や態度のすがしさ、その大切さを感じとった。むろん文学も人生も、それだけで乗り切れるほどヤワじゃない。しかし、姿勢とはメッセージだ。
  •  私たちはみずからを無慙無愧(むざんむき)の輩と覚えつつ、なお人に何かを届けたがり、人と何かを響き合わせたいのだ。それが衆生だ。(略)
  •  村上一郎は、スマートに生きようとして拙劣に生きた。あるいは自分の切実さを、なるべくスマートに歌うまいとした。だが今や、見てくれのスマートさや、結果がすべてというあられもない世の中だ。なんの屈折も逆説もない。
  •  せめて私は、いや私たちは、美しい国を与えられるよりは、楽しい国をおのがじし造ろうと思う。」---「切実のうた 拙劣のいのち」より


    「誰かと秘密を持つ、というのは好きだ。 共有者というより共犯者ができたみたいで、ぞくりぞくりとする。 男と女が秘密を持ちはじめると、恋になる。 三人以上が秘密を持ちはじめると、宗教になる。何となく、そう思う。」---「ちょっと深呼吸:秘密」より


【著者紹介】 岡田哲也(おかだ・てつや)

1947年、鹿児島県出水市に14人兄弟姉妹の末っ子として生まれる。東京大学中退。以後、物書き、寺社などの建築デザイン、広告コピーやシナリオ書きなどで40年間を出水市で暮らす。詩集に『白南風』、『にっぽん子守唄』、『岡田哲也詩集』、『わが山川草木』など、エッセイ集に『不知火紀行』、『夢のつづき』など、物語に『川がき』三部作などがある。「本より本人の方が面白い」という風評と焼酎とともに現在も出水市在住。

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